研究領域 | シンクロ型LPSO構造の材料科学 ―次世代軽量構造材料への革新的展開― |
研究課題/領域番号 |
23109008
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東田 賢二 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70156561)
|
研究分担者 |
森川 龍哉 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00274506)
萩原 幸司 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10346182)
藤原 雅美 日本大学, 工学部, 教授 (40156930)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 力学的特性 / 変形機構 / すべり変形 / キンク |
研究実績の概要 |
シンクロ型LPSO構造,特にMg基LPSOは軽量で且つ高い強度と延性を発現する.本研究では,この合金に置ける優れた力学特性の発現メカニズムを解明し,LPSOによる新たな強化機構の確立を目指すことを目的とする.具体的には,シンクロ型LPSO構造の特徴である同期した積層変調と濃度変調とが力学特性に与える寄与を,非シンクロ型LPSOおよび非シンクロ材料との特性比較により明らかにする.さらに,LPSOでの強化機構の要となるキンク帯の構造と形成過程を実験的に明らかにし,計算力学グループと連携してその階層的モデル化を図る.以上の研究で明らかとした強化機構と変形機構を,超高圧電顕法,中性子線回折によるその場観察で検証し,強化メカニズムの妥当性を実証する. 今年度は,研究代表および各研究分担者,連携研究者が以前より扱ってきたMg系シンクロLPSO構造材料について,室温から高温に至る力学特性および変形特性を調査した.まず,Mg-1at.%Zn-2at.%Y合金(二相合金),Mg-0.2at.%Zn-0.6at.%Y合金(α-Mg単相合金),Mg-5at.%Zn-7at.%Y(LPSO単相合金)各押出材について,600~673Kの高温域でクリープ試験を行った.それぞれの材料の応力指数を見積もり,二相合金が構成相それぞれの力学特性の中間の変形律速現象を示し,変形速度によって変形を担う相が変化することを明らかにした.また,一方向凝固させたLPSO単相合金擬単結晶で18Rと14Hの2種類の結晶構造を有する材料を作製し,両者の変形組織を比較することで,構造変調の相違が変形挙動に及ぼす影響を調べた.二種の構造を持つそれぞれのLPSO単相合金で活動すべり系がほぼ同等となり,非シンクロ系LPSO構造材料とは異なる挙動を示すことが明らかとなった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従い,今年度は,塑性変形に伴う内部組織に関する基礎的実験を進めることで力学特性解明のための有用な知見を得ることができた.また,合金単結晶作製技術を向上させ,領域研究全体で利用する共通試料の供給を滞り行うためのシステムを確立できた.
|
今後の研究の推進方策 |
LPSO単相合金とこれを含む複相合金について,室温から高温における力学特性や変形特性を引き続き調べていくと共に,LPSO相の変形モードの1つとして注目されているキンクについてその形成・発達過程やキンク近傍におけるひずみや結晶回転の様相をミクロおよびマクロの両面から詳細観察することでキンク変形の特徴を明らかにする.また,計算グループとの連携もさらに強化し,得られた実験結果をモデル化する試みに着手する.
|