今後の研究の推進方策 |
1. Dystrophic endballとKS, CSの関係:中枢神経の損傷軸索の特徴であるdystrophic endballとKS, CSおよびそれらの受容体の関係を明らかにする。Dystrophic endballは濃度勾配を持ってコートしたプロテオグリカンによってin vitroで誘導できることが知られている。軸索だけを神経突起として伸ばす(樹状突起はできない)後根神経節細胞を用いて、KSとCSを持つプロテオグリカン(KS/CSPG)であるフォスファカン、アグリカンでdystrophic endballを誘導する。その上で、ここでもKS, CS消化が効果を及ぼすかを検討する。さらにdystrophic endballの中でどのようなイベントが起きているかを、細胞内小胞の動きを中心に解析する。 2. KS, CSとそれらの受容体の関係:これまで報告されたPTPsigma, LARは同じサブファミリーに属する受容体型チロシンフォスファターゼである。これらの受容体にKS, CSあるいはフォスファカンが結合するか、結合するとするならどのようなキネティクスかと解析する。 3. 糖鎖機能ドメインの同定:精製したフォスファカンについてKSの2糖分析を行う。特に硫酸化の程度が軸索再生阻害にどのように影響するのかをKSGal6ST(高硫酸化に必須の酵素)のノックダウンなどにより解析する。 4. 眼優位性可塑性とLTP:「非遮蔽眼(同側)の反応性増大」の理由とされるLTPがKS欠損マウスで影響を受けているかを大脳皮質第1次視覚野両眼領域のスライスを用いて検討する。
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