計画研究
コンドロイチン硫酸は直鎖状の多糖で、特定のコアタンパク質のセリン残基に共有結合したプロテオグリカンとして、脳の神経細胞表面や細胞外マトリックスに豊富に存在する。コンドロイチン硫酸は、脳の発生に伴い抑制性神経細胞の一種であるパルブアルブミン陽性神経細胞(PV細胞)の周囲に集積し、ペリニューロナルネット(PNN)と呼ばれる特殊な細胞外マトリックスを形成する。以前我々は、6-硫酸化コンドロイチンを多く発現するマウス(C6ST-1 TGマウス)の視覚野ではWFA陽性のPNN数が減少し、その結果、C6ST-1 TGマウスのPV細胞は十分に成熟できず、成獣においても視覚野の可塑性を維持していることを見出した。そこで本年度は、6-硫酸化コンドロイチンがどのようにPNNの形成を制御しているのかをC6ST-1 TGマウスを用いて解析した。生後1日目、15日目、30日目、45日目、120日目のC6ST-1 TGマウスと野生型マウスの脳のおける種々のプロテオグリカンの発現をウエスタンブロティング解析により調べたところ、C6ST-1 TGマウスの脳において、PNNの主要な成分として知られるアグリカンのみが選択的に減少していた。また、WFAを用いた組織染色からも、野生型マウスと比べC6ST-1 TGマウスの脳のPNNへのアグリカンの蓄積が特異的に減少していることが判明した。さらに、C6ST-1 TGマウスにおける脳由来のアグリカンは、野生型マウス由来のものに比べ、マウス脳に発現してアグリカンを分解することが知られるADAMTS-5(aggrecanase-2)による分解を受けやすいことがわかった。したがって、アグリカン上のコンドロイチン硫酸の硫酸化構造はアグリカンの安定性に影響を与え、その結果PNNの形成や神経可塑性を制御していることが示唆された。また、糖鎖の化学合成に関しては、ビオチン化CS-D型四糖の化学合成に成功し、これらをBiacoreの基盤に結合させることにより様々な分子との結合解析が可能となった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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