研究領域 | 統合的神経機能の制御を標的とした糖鎖の作動原理解明 |
研究課題/領域番号 |
23110009
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
柚崎 通介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40365226)
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キーワード | AMPA受容体 / エンドサイトーシス / エキソサイトーシス / 小脳 / LTD / LTP / ライソゾーム / マウス |
研究概要 |
中・長期に持続する記憶・学習の実体は、シナプス後部におけるAMPA型グルタミン酸受容体の輸送によって担われている。AMPA受容体の輸送は、細胞内分子のみでなく、脂質ラフトや細胞外基質に存在する糖鎖とAMPA受容体との相互作用によって制御されるがその詳細は不明である。また、より長期に持続する記憶にはシナプス形態変化が伴い、成熟とともに神経細胞周囲に発達するプロテオグリカンが関与することも分かってきた。本研究では小脳をモデルとして、機能的・形態的シナプス可塑性を制御する分子機構を、糖鎖科学と脳科学的アプローチを融合することによって解明することを目的とする。 神経活動亢進に伴うAMPA受容体輸送経路について明らかにするために、長期増強(LTP)刺激によって樹状突起の棘突起にエキソサイトーシスされてくるAMPA受容体が存在する細胞内プールについて検討を加えた。興味深いことにこのプールは酸性でかつカテプシンが陽性であり、ライソゾームの性質を持っていることがわかった。逆にライソゾームへの輸送を阻害するとLTPが障害されることも分かってきた。ライソゾームには糖鎖分解に関与する酵素が含まれているため、AMPA受容体の糖鎖修飾がこのプールで変化する可能性を示唆する。現在、神経細胞におけるライソゾームエキソサイトーシス経路とその意義についてさらに解析を進めている。一方、小脳プルキンエ細胞における長期抑圧(LTD)と糖鎖との関連について検討するために、まず発達早期の幼若プルキンエ細胞に子宮内電気穿孔法によりcDNAやshRNAを導入し、かつ発現誘導できるシステムの開発した(論文投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度半ばから研究が開始となったために、論文業績としては出ていないが順調に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ライソゾーム経路からのAMPA受容体のエキソサイトーシスの生理的意義と糖鎖修飾との関係については、1)どのような種類の糖鎖分解酵素が培地中に分泌されてくるか、2)細胞下分画法や抗体を用いた分画法によって、各プールにおけるAMPA受容体の糖鎖付加の違いを解明、という2つのアプローチを併用する。またほぼ確立した各種小脳神経細胞への誘導的遺伝子発現法を用いて、小脳神経回路における糖鎖の機能的意義について検討を進める。
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