研究領域 | 統合的神経機能の制御を標的とした糖鎖の作動原理解明 |
研究課題/領域番号 |
23110010
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
高宮 考悟 宮崎大学, 医学部, 教授 (40283767)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | グルタミン酸受容体 / 糖鎖 / シナプス可塑性 |
研究概要 |
AMPA型グルタミン酸受容体(AMPA-R)は、中枢神経系において主たる興奮性神経伝達物質であり、シナプス可塑性において中心的役割を担っている。膜タンパク質であるグルタミン酸受容体に関しては、細胞外ドメインに存在する複雑な糖鎖修飾のために解析が困難である。本領域においてこのAMPA-Rの細胞外からの糖鎖を介した制御機能を解析することを主たる目的としている。現在までに、AMPA-RのN型糖鎖の機能解析に関して大きな進展が得られた。 AMPA-Rの糖鎖を除去することによって、チャンネル活性の再感作現象がみとめられた。 これまでの研究結果より、AMPA-RのGluA1サブユニットの1カ所のN型糖鎖修飾部位にアミノ酸変異を加えて糖鎖修飾を阻害することでAMPA-Rの再感作現象が起こるため、その詳細なメカニズムを明らかとしていく。 また培養神経細胞を用いたAMPA-Rの再感作現象は、細胞外マトリックスや膜に存在するコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどによっても引き起こされる結果を得ている。従ってそのメカニズムに関しても解析を行う。これまでの研究でAMPA-Rのリンカー部位やそのN型糖鎖と結合する分子が示唆される。それでAMPA-Rの細胞外領域と糖鎖を介して結合する分子の検索を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在得られている結果が大変興味深く、さらに詳細に解析することが非常に重要であると考え、その研究課題に集中して解析を行い早期の論文発表をめざしている。従って、当該研究項目は進んいるが、他の研究項目の進行がやや遅れがちである。またさらに、新たな共同研究をスタートさせ新たな領域への研究を展開している。
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今後の研究の推進方策 |
AMPA-Rの再感作現象がチャンネルそのものの性質の変化であるかどうかを区別するために①GluA1をHEK293T細胞に発現させパッチクランプを行い、より詳細な電気生理学的解析を行う。特にminiEPSC, out side out パッチクランプを行うことによりN型糖鎖修飾の個々のチャンネル活性への影響を明らかとする。現在までに、AMPA-RのN末端ドメインとリガンド結合ドメインをつなぐリンカー部位が再感作現象を起こす上で重要な部位ということが示唆された。そこで②この部位に結合する数種類のタンパク質をプロテオミクスにて同定した。これらのタンパク質に対してAMPA-Rとの結合を確認するとともに、その結合がチャンネル活性に及ぼす影響を解析する。さらに、近年同定されたAMPA-Rと結合する膜タンパク質であるTARP(Transmembrane AMPA regulatory proteins)の一部が、類似の再感作現象をおこすことが報告されている。現在までにAMPA-RのN型糖鎖の除去により、AMPA-RとTARPの結合が減少することがわかった。このような結果からもAMPA-Rの再感作現象のメカニズム解明の糸口になると思われる。
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