研究領域 | 脳内環境:恒常性維持機構とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
23111003
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
服部 信孝 順天堂大学, 医学部, 教授 (80218510)
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キーワード | 封入体 / 神経細胞死 / オートファジー / タンパク質分解異常 / パーキンソン病 / Lewy小体 / ドーパミン / Parkin |
研究概要 |
神経変性には部位特異性に残存神経細胞に封入体の形成が伴うため、タンパク分解系(プロテアソーム系とオートファジーリソソーム系)の異常が推定されてきた。しかし、そのような異常が根本的原因であるか否か、細胞内封入体自体が神経細胞死に対し保護的に作用するのか否かは結論に至っていない。一方、これまでの基礎研究からオートファジーの障害は凝集体形成に直結することが知られているため、神経細胞選択的にオートファジーを欠損させることにより、封入体形成の影響を観察することが可能となる。パーキンソン病はレビー小体と呼ばれる封入体を病理学的特徴とし、中脳黒質ドーパミン神経の細胞死を引き起こす。本質的な病態としてドーパミン細胞の選択的変性機序ならびに凝集体形成機構は未だ不明な点が多い。 本年度はドーパミン神経特異的にオートファジーを欠損させたモデルマウス作製し、ドーパミン神経での凝集体形成過程ならびに細胞死への影響を観察すると共に凝集体の病理学的特徴を明らかにした。更に遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子産物Parkinとのダブルノックアウトを作製し、Parkinの凝集体形成機構への関与について検討したところParkinの欠損は凝集体の形成に影響を与えないことが判明した。一方、遺伝性パーキンソン病の病態にオートファジーの誘導不全による異常ミトコンドリアの蓄積が注目されており、タンパク分解系とミトコンドリアの機能異常が神経変性において重要な要因となっていると推定される。即ち、Parkinは膜電位の低下した損傷ミトコンドリアをオートファジー経由で分解することにより、細胞内の環境維持に貢献していると考えられる。遺伝性パーキンソン病では本メカニズムの破綻が発症に関与することが推測されるが、ドーパミン神経でのこれら知見の実証は十分と言えない。今回、Parkinとオートファジーのダブルノックアウトマウスの電顕像では異常ミトコンドリアの蓄積が認められた為、本障害と細胞死の関連性についても検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたタンパク質分解異常を神経特異的に欠損するモデルマウスを作製し、封入体形成を確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
モデルマウスの経過を追い凝集体の形成と細胞死の有無を観察することにより封入体と神経細胞死の関連性について明らかにする。さらに凝集体の構成成分やそれら代謝に関与する因子を欠損するモデルマウスを作製し凝集体の形成過程を解明していく。
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