研究領域 | 脳内環境:恒常性維持機構とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
23111005
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
内匠 透 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (00222092)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脳神経疾患 / 脳・神経 / 神経科学 / 遺伝子 / 蛋白質 |
研究実績の概要 |
1) 野生型および変異型hTLS発現マウスの作製 ALS変異をもつヒトTLS(hTLS)をコンディショナルに発現するALSモデルマウス作製のため、野生型(hTLS-WT)あるいは変異型hTLS(hTLS-R495X)を発現するプラスミドベクターを作製した。作製したベクター(pROSA-loxP-stop-loxP-hTLS-WTおよびpROSA-loxP-stop-loxP-hTLS-R495X)はROSA26領域に導入された後、Cre-loxPシステムでhTLSを発現するようデザインされており、マウス神経芽細胞腫細胞株Neuro 2aを用いた発現テストで期待通りの発現が認められたので、ES細胞へのターゲティングを行い、現在遺伝子型のスクリーニングを行っている。 2) 野生型および変異型hTLS発現細胞の作製 変異型hTLSの細胞内での挙動、さらには変異hTLSを発現する細胞間の相互作用、特にグリア細胞が関与する運動神経変性をin vitroで解析するため、hTLS-WTおよびhTLS-R495Xを発現する細胞の樹立を試みた。まず、レンチウイルスベクターを用いて、テトラサイクリン存在下でhTLS-WTおよびhTLS-R495Xの発現が誘導される運動神経細胞株NSC-34を作製した。これらの細胞は、運動神経における変異hTLSの解析や、神経変性の解析に用いることができる。 これと平行して、内因性TLSの非存在下における変異hTLSの挙動を調べるため、レンチウイルスベクターを用いてTLS KOマウス胎仔由来の線維芽細胞にhTLS-WTあるいはhTLS-R495Xを導入し、これらを安定して発現する細胞株を得た。これらの細胞では、hTLS-WTはおもに核に局在し、C末端の核移行シグナルが欠損しているhTLS-R495Xは細胞全体に拡散するという期待通りの発現パターンが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルに関しては、上記の通り、作製進行中である。TLS結合タンパク質の解析も現在同様に継続して進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
TLSのRNA標的として、TLSノックアウトにおいて、スプライシング異常をきたす標的遺伝子群をあらたに同定した。今後は、これらの機能解析を行うと同時に、ALS変異との関連、ひいては神経変性との関連を解析する。
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