計画研究
本研究では筋萎縮性側索硬化症(ALS)を病態モデルシステムとして、神経変性に対する生体応答の主役としてのグリア細胞による変性神経細胞の認識機構や生体応答機構、病巣の伝播機構の解明を目指す。自然免疫関連遺伝子であるTRIF依存性のToll様受容体経路の神経変性における役割を検討し、変性ニューロン、グリア細胞の認識、応答経路を探索した。TRIFを欠損したALSマウスでは、疾患進行が加速した。その機序の一端として、これまで注目されてこなかったNK細胞, CD8-T細胞が脊髄に浸潤する主要な免疫細胞であることが判明し、TRIF欠損下でこれらの免疫細胞数が著明に減少することが病勢の増悪と相関していることを見いだした。オステオポンチン(OPN)欠損ALSマウスにおける発症遅延の背景を解析する目的で以下の解析を行った。Grip Strengthの変動を遺伝子型ごとに比較したところ、OPNを欠損させたSOD1G93Aマウスでは発症期の前後を中心として筋力低下が遅延する傾向にあった。発症期に採取した腓腹筋切片のヘマトキシリン・エオジン染色では、OPNを欠損しているマウスの方が変性、萎縮した筋肉の割合が少なかった。疾患初期から運動ニューロン外で観察されるOPNの粒子状構造物について更に解析を進めたところ、CD45陽性ミクログリア/マクロファージに貪食されている組織像が観察された。OPN貪食細胞はCD11c、CD68、CD86、MHC class Ⅱなどが陽性であるという表現型を示した。
3: やや遅れている
H25年度は代表者の研究室異動に伴う、実験動物の移動を行った。一部に微生物検査成績が異動先動物実験飼育施設の入室基準に満たない動物があったため、胚操作による清浄化を行う必要があった。そのため、一部の実験に遅延が見られたが、次年度に進捗の遅れを取り戻したい。
異動先への研究機器、試料の移転はスムーズであった。研究スタッフの確保、実験環境の早急な整備につとめ、来年度の研究計画が順調に進展するように配慮する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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