研究領域 | 脳内環境:恒常性維持機構とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
23111007
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木山 博資 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00192021)
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研究分担者 |
桐生 寿美子 (瀬尾 寿美子) 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70311529)
小西 博之 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90448746)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 神経損傷 / グリア / 軸索再生 / 運動ニューロン |
研究概要 |
軸索損傷後の再生軸索とシュワン細胞のインターラクションにおいて、以前我々が同定したDamage induced neuronal endopeptidase (DINE)が関与する可能性が昨年度までに明らかになったので、25年度はDINEの野生型トランスジェニックマウス(Tg)と酵素活性のもたない変異型(Tg)の作成を行なった。これらのTgは現在までに得られており、これらとノックアウトマウスとの交配を進めている。一方、in vitroの研究ではDINEノックアウトマウスから得られた運動ニューロンとシュワン細胞の共培養の実験から、DINEノックアウトによりシュワン細胞の遺伝子発現に変化が見られることが明らかになった。一方、ミクログリアと損傷ニューロンとのインターラクションでは、現在Trem2と共役する受容体分子のノックアウト動物を入手し、軸索損傷後のミクログリアの動態を検討している。この分子はミクログリアの活性を遷延する可能性が示唆されている。26年度以降さらに解析を進める予定である。神経損傷特異的にCreを発現しミトコンドリアを標識するTgの新たなラインを25年度に取得できた。これを用いて他の班員が有するコンディショナルノックアウトマウスとの交配を新たに進めている。また、このマウスを用いて神経損傷後のミトコンドリアの動態に関して研究を進めており、ミトコンドリアの形態変化を阻害することによる影響の解析を行なった。本研究は現在も進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度までに、各種のトランスジェニック動物の作成やノックアウト動物の入手が概ね完了しており、25年度後半よりそれらを用いた研究が本格的に進行している。25年度末までの経過では、これらの動物を用いた研究において成果が出始めており、26~27年度に向けてこれらの動物を用いた研究の成果を取りまとめられる見込みがでてきた。特にATF3プロモータートランスジェニック動物を用いた研究とTrem2に結合する受容体のノックアウトマウスの結果はデータが蓄積されている。以上により本研究は25年度末の時点において、概ね当初の目的に沿って、研究が順調に進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
25年度までの研究進捗に従い概ね予定通りに研究を遂行する。26年度は25年度までに作成あるいは入手した遺伝子改変動物を用いた研究を本格的に推進する。神経損傷時にミクログリアに発現する分子の欠損動物を用いた機能解析、損傷神経特異的にcreを発現し特定の分子を欠損できるトランスジェニック動物を用いた解析、さらにミクログリアをトキシンで一時的に欠損できるマウスを用いた研究を推進する。さらに神経再生時に再生軸索で発現し、シュワン細胞に影響を与えるプロテアーゼDINEについても各種トランスジェニックとの交配による解析を進める。これらのin vivo研究により神経損傷時に脳内のグリアが作り出す脳内環境が損傷神経細胞に及ぼす影響を明らかにする。
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