研究概要 |
われわれがALSの原因遺伝子として同定したオプチニューリンは多様な分子機構に関与しており,NF-κBに関連した炎症調節機能だけでなく,ユビキチン結合能を介してオートファジーにも関与することが明らかになってきている。オプチニューリン遺伝子異常による神経変性メカニズムと周辺環境に及ぼす影響をあきらかにするため、2つのモデル作製を試みた。1つは、ノックアウトマウスの作製であり、ES細胞でオプチニューリン遺伝子をノックアウトした後、キメラマウスを作製し、F1を得た。DNA解析の結果、ノックアウトマウスが生まれており、今後系代し、数の拡張、およびホモ接合マウスを得て、解析を行う予定である。またOPTNノックアウトマウスの表現形を観察するとともに,培養細胞系での検討を行う目的でノックアウトマウスの胎仔からマウス胚性線維芽細胞MEFを作成しT抗原にて不死化させた.これと並行して優生遺伝形式をとるOPTNのE478G変異を導入したトランスジェニックマウスの作成も試みている。 2つ目のモデルとして、オプチニューリン遺伝子異常をもつ筋萎縮側索硬化症患者より、同意を得て、皮膚生検し、繊維芽細胞を得た。山中法を改良した独自の誘導方法にて、その後の分化誘導に偏向性の少ないiPS細胞を誘導した。具体的には、ゲノムに挿入されないリプログラミング因子の導入法や、分化誘導の偏向性を減弱させる独自培養法を用いて、分化誘導を試みたが、神経細胞への完全な分化は得られなかったため、今後更なる改良を進める予定である。
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