研究領域 | 脳内環境:恒常性維持機構とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
23111008
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川上 秀史 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70253060)
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研究分担者 |
加藤 英政 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50292123)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / iPS細胞 / モデル動物 |
研究実績の概要 |
神経変性研究において近年、神経外環境の変調、つまり脳内環境の変調が神経変性に深く関与することが明らかとなってきている。研究代表者らはOptineurin(OPTN)が筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子であることを発見し、遺伝性、孤発性を問わずすべての ALS において OPTN が残存運動神経内封入体に共通に存在することを見出し、OPTN が ALS 発症の共通な経路に関与している可能性を示した。さらに、OPTN は炎症メディエーターの転写因子である NFκB の制御異常や、自然免疫経路への関与を通じて非神経細胞や神経外環境の破綻を来すことが示唆されている。 本研究では、OPTN-ALS モデル動物と iPS 細胞の構築と解析を通じて、神経内外の脳内環境の恒常性維持とその破綻に関する OPTN の役割を,領域内共同研究を通じて明らかにすることを目的とする。 OPTNノックアウトマウスの作製に成功し、現在ホモ接合マウスの産出、および表現型の観察を行なっている。表現型の観察において、毎週体重の計測、ロタロッドをおこなっているが、現在のところ、明らかな表現型の変化は認めていない。 山中法を改良した独自の誘導方法にて、その後の分化誘導に偏向性の少ない iPS 細胞を誘導することを目的とした。TET1因子を導入することにより、現在問題になっているゲノム・エピゲノムレベルでの iPS 細胞の各異常を是正することに成功し、特に神経系への分化に関して、60倍もの効率化に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的のオプチニューリンノックアウトマウスの作製に成功した。表現型の表出はまだ得られていないが、これは発症まで年数を要する神経変性疾患の特色に基づくものであり、時間が必要である。また新規iPS細胞の作製に成功し、今後の大きな進展が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
オプチニューリンノックアウトマウスの解析のため、ホモ接合マウスの大量生を促進する。またTET1-iPS細胞による筋萎縮性側索硬化症細胞モデルを試みる。
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