計画研究
幹前駆細胞の単離濃縮法、同定法、非対称分裂の検定法がほぼ確立している乳腺組織をモデルとして、幹細胞の自己更新、非対称分裂の検定法を利用し、細胞極性制御因子の役割、運命決定因子の役割を解析した。さらに、両者の相互作用を解析し、乳腺組織幹細胞の自己更新の 分子機構、自己更新における非対称分裂の役割、その分子機構の解析を進めた。乳腺組織のプライマリー細胞中にごく微量に存在する、乳腺組織幹細胞、乳腺管腔前駆細胞などを生物学的に区別して定量・評価する手法の解析をすすめた。具体的には試験管内のいくつかの培養系を検討し、乳腺組織幹細胞を評価するMamosphere系、乳腺管腔前駆細胞を評価するColony m形成系、3D Matrigel Organoid形成系について、様々な培養条件で培養したのちに文化マーカーで染色することにより、上述の両者を区別して定量評価する系をほぼ確立した。さらに、aPKCラムダのshRNAを発現するレンチウィルスベクター、aPKCの阻害ペプチドなどを用いて、その役割の解析を進めた。その結果、aPKCラムダの乳腺前駆細胞における役割と乳腺管腔前駆細胞における役割が大きく異なる事を示す再現的な結果を得た。一方、上述の試験管内での実験と平行して、マウスレベルでaPKCの役割を評価するために、aPKCラムダのcKOマウスを用いて乳腺組織幹細胞で確実にaPKCラムダ遺伝子をKOデキルマウスラインの樹立を進めた。さらに、aPKCゼータのKOマウスとの掛け合わせを進め、aPKCラムダとゼータを明確に区別する実験系の確認を進めた。
2: おおむね順調に進展している
乳腺組織の初代培養細胞を試験管内で培養する3種類の培養系と様々なマーカー発現を指標として、遺伝子操作を施す新たな解析系を確立し、ごく微量に含まれる乳腺組織前駆細胞と乳腺組織幹細胞とを独立に評価できる系を確立できた。これらの系と、aPKCラムダの機能阻害を用いて、aPKCラムダの役割を評価することが可能となった。平行して、生体レベルでの検証に向けて、組織幹細胞で遺伝子操作を確実に行う為の系の準備を進めた。全体を通じて、本研究は概ね順調に進展している。
性成熟後の乳腺組織前駆細胞及び幹細胞の維持機構に関して、試験管内での培養系を用いて、aPKCラムダが両者で明確に異なる役割を果たしていることがわかってきたので、その確認と検証を様々な角度から進める。さらに、生体マウスを用いる系の準備が整ったので、vivoでの検証も平行して進める。 さらに、aPKC-PAR系の上流及び制御因子、下流因子などの同定も進んだので、これらとの関係を調べる。
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http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~ohnos/Japanease/indexJ.html