計画研究
本研究では、乳腺組織をモデルとして、上皮管腔組織の形成・維持と破綻の根底にある、普遍的な機構に迫ることを最終的な目標としました。解析の切り口として、細胞極性タンパク質(様々な細胞の極性を制御する普遍機構(aPKC-PAR系)に着目しました。具体的には、乳腺組織幹細胞及び前駆細胞の本態、両者の増殖制御機構、乳がんとの関わり、細胞極性の制御機構の解析を進めました。まず、幹細胞に由来するスフィア形成と充填型オルガノイド形成、或いは管腔前駆細胞に由来するアシナー様オルガノイド形成とコロニー形成など幹細胞と管腔前駆細胞とを明確に区別して性質を調べることができる培養系を確立しました。阻害剤及び分子生物学的な方法により、幹細胞の自己更新にaPKCが正の役割を持っていること同時に、管腔前駆細胞では、aPKCはその抑制的な役割を果たしている事を見いだしました。その分子機構に関して、幹細胞の増殖・自己更新におけるaPKCの促進的役割を媒介する新たな転写因子の同定に成功しました。前駆細胞でのaPKCの抑制的な役割の分子機構については、昨年度までに、乳腺前駆細胞においてaPKCがErbB2を介する増殖を抑制している事を示しています。一連の研究により、普遍的な細胞極性制御系であるaPKC-PAR系が、様々な細胞の極性制御に加えて、幹細胞や前駆細胞の増殖に様々な形で影響を与えていることがわかりました。さらに、その分子機構の一端が見えてきました。aPKCが、同じ乳がんでも症例により、逆の役割を果たしている事が予想できます。また、aPKCの発現と核局在とが、子宮がん、乳がんなどの前がん病変、悪性度と予後の判定に利用できる可能性を示しています。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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