計画研究
WntまたはRas/MAPKシグナルに依存して、ヒト大腸癌および肺腺癌においてArl4cが高発現すること、およびその発現抑制が腫瘍形成を抑制することを去年度までに報告した。本年度はArl4cが肺扁平上皮癌において、WntおよびRas/MAPKシグナル非依存的に高発現していることを新たに見出し、高発現症例ではArl4c遺伝子領域が低メチル化状態になっていることを発見した。DNA脱メチル化酵素TETをノックアウトした肺扁平上皮癌細胞でArl4cの発現が抑制されることから、ヒトがんにおけるDNAメチル化を介したArl4cの新たな発現調節機構が明らかになった。また、極性化MDCK細胞においてWntシグナル抑制因子であるDkk1が細胞増殖を促進することを見出し、Dkk1の新規受容体としてCKAP4を同定した。Dkk1とCKAP4は膵癌と肺腺癌、肺扁平上皮癌において高発現すること、両タンパク質の共発現症例が予後不良であることを明らかにした。さらに、抗CKAP4抗体は皮下ゼノクラフト腫瘍形成を阻害したことから、Dkk1-CKAP4シグナルもまた癌の創薬標的となる可能性が示唆された。培養細胞を用いた実験系に加え、胎生期マウスから摘出した肺および唾液腺原基の器官培養法を確立した。肺原基を用いた解析では、FGF10に加えて、Wntシグナルを活性化すると、上皮原基が持続的にBud構造を形成し、管腔構造が誘導されることを見出した。Wntシグナルが肺上皮細胞の頂底極性と細胞分裂軸を制御し、分裂期細胞による異常な組織貫入を抑制することで、肺の分岐形状を適正化する機構を明らかにした。外分泌腺である唾液腺原基を用いた解析では、Wntシグナルの活性化が腺房上皮への分化を抑制することを見出し、WntとKITシグナルの活性化バランスが発生過程における管腔形態形成から腺房分化へのスイッチングを調節する新たな機構を明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 6件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Development
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