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2011 年度 実績報告書

上皮管腔形成過程における細胞動態と機能分子動態の3次元イメージング解析

計画研究

研究領域上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立
研究課題/領域番号 23112005
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関東北大学

研究代表者

大橋 一正  東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10312539)

キーワード機械的シグナル / 上皮細胞 / アクチン骨格 / Rho / GEF / 管腔形成 / コフィリン
研究概要

本年度は、乳腺上皮細胞の三次元培養下における細胞外マトリックスの硬さに依存的した上皮間葉転換様の形質転換に関与するRho-GEFの探索を行い、複数種類の因子を同定した。これらのRho-GEFの発現抑制は基質に対する接着において、基質の硬さに依存した細胞面積の増大を抑制することが明らかとなり、これらのRho-GEFがインテグリンを介した機械的刺激をうけて活性化し、Rhoファミリーの活性を制御することが強く示唆された。得られたGEFの中に、細胞内平面極性に関与するGEFが含まれており、これは器官形成や形態形成における細胞集団の秩序ある極性形成、移動、形態制御に機械的なシグナルを受けてRhoに活性化を行うことで寄与する分子であることが示唆された。また、アクチン繊維の切断・脱重合因子であるコフィリンのリン酸化による活性制御因子として、コフィリンの活性化因子として働く脱リン酸化酵素Slingshotの腎上皮由来MDCK細胞の三次元培養におけるCyst形成において、頂底極性形成に伴う内腔が複数生じる異常が認められた。Slingshotは、細胞の極性を持った移動に必要であることが明らかとなっており、細胞集団内の極性制御においてもアクチン骨格の再構築を介して寄与することが示唆された。本研究計画に挙げている上記のシグナル分子に相互作用する分子の探索について、プロテオーム解析を行うための準備を進めており、プローブ分子を恒常的に発現した細胞株の樹立を完了した。また、上記分子の3次元イメージングによる機能解析のため、細胞接着、細胞骨格、細胞極性を生細胞なで可視化するマーカー分子を発現したMDCK細胞株を樹立した。これらの細胞を用いて、管腔形成過程をイメージングする実験手法の確立を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた、乳腺上皮細胞の三次元培養下における細胞外マトリックスの硬さに依存的した上皮間葉転換様の形質転換に関与するRho-GEFの探索を終え、複数の因子の同定に成功した。震災の影響を受けたものの、これらの基本的な機能解析を進めると共に、イメージング解析、プロテオーム解析に必要な細胞株の準備を終えることができた。さらに先行してイメージング解析に用いるプローブの開発を行っており、計画はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

乳腺上皮細胞の三次元培養下における細胞外マトリックスの硬さに依存的した上皮間葉転換様の形質転換に関与するRho-GEFについて、定量的な詳細な解析を進めると共に、特徴的な表現型を示す分子を選定して、プロテオーム解析、イメージング解析を平行して行う。プロテオーム解析で得られた分子についてイメージング解析にフィードバックし、管腔形成に寄与するアクチン骨格の制御機構の分子基盤、そのメカニズムを明らかにする。また、機械的シグナルによる管腔形成、管腔の形態制御機構を解析するイメージングツールの開発と実験方法の確立を進めていく。管腔の人為的な形態制御は難しい課題であるが、領域内の研究者との連携で解決する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Visualization of cofilin-actin and Ras-Raf interactions by bimolecular fluorescence complementation assays using a new pair of split Venus fragments2012

    • 著者名/発表者名
      Ohashi K, et al
    • 雑誌名

      Biotechniques

      巻: 52 ページ: 45-50

    • DOI

      10.2144/000113777

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Live-cell imaging of G-actin dynamics using sequential FDAP2011

    • 著者名/発表者名
      Kiuchi, T, et al
    • 雑誌名

      BioArchitecture

      巻: 1 ページ: 1-5

    • DOI

      10.4161/bioa.1.5.18471

    • 査読あり
  • [雑誌論文] LIM-kinase has a dual role in regulating lamellipodium extension by decelerating the rate of actin retrograde flow and the rate of actin polymerization2011

    • 著者名/発表者名
      Ohashi K, et al
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem.

      巻: 286 ページ: 36340-36351

    • DOI

      10.1074/jbc.M111.259135

    • 査読あり
  • [学会発表] Identification of cytochalasin D as an inhibitor of actin-cofilin in teraction2011

    • 著者名/発表者名
      東海林和康, 他
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜,パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-12-16
  • [学会発表] Furry is involved in bipolar spindle formation through Plk1 activation2011

    • 著者名/発表者名
      池田真教, 他
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜,パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-12-15
  • [学会発表] Identification of Rho-GEFs involved in breast cancer cell migration2011

    • 著者名/発表者名
      日當竜一, 他
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜,パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-12-15
  • [学会発表] Activation of LIMK1 by CaMKIIb is required for BDNF-induced dendritogenesis in rat cortical neurons2011

    • 著者名/発表者名
      北谷佳那恵, 他
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜,パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-12-15
  • [学会発表] Phosphorylation and activation of LIMK1 by CaMKIIbeta in BDNF-induced dendritogenesis2011

    • 著者名/発表者名
      大橋一正, 他
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都,国立京都国際会館
    • 年月日
      2011-09-23
  • [学会発表] Regulation of Slingshot-1 phosphorylation in SDF-1-induced T cell chemotaxis2011

    • 著者名/発表者名
      川村友理子, 他
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都,国立京都国際会館
    • 年月日
      2011-09-23
  • [学会発表] Identification and functional roles of Rho-GEFs that are involved in cell migration2011

    • 著者名/発表者名
      林文, 他
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都,国立京都国際会館
    • 年月日
      2011-09-23
  • [学会発表] Activation of LIMK1 by CaMKIIb is required for BDNF-induced dendritogenesis in rat cortical neurons2011

    • 著者名/発表者名
      大橋一正, 他
    • 学会等名
      第63回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      札幌,北海道大学
    • 年月日
      2011-06-28
  • [学会発表] Multipoit measurements of fluorescence decay after photoactivation of Dronpa-actin reveal spatial distribution of G-actin concentration between lamellipodium and cell body2011

    • 著者名/発表者名
      木内泰, 他
    • 学会等名
      第63回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      札幌,北海道大学
    • 年月日
      2011-06-28
  • [備考]

    • URL

      http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/mizuno_lab/

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公開日: 2013-06-26  

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