研究領域 | 上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 |
研究課題/領域番号 |
23112008
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐邊 壽孝 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40187282)
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研究分担者 |
小根山 千歳 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (90373208)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳癌 / 浸潤 / TGFβ1 / p53 / Arf6 / AMAP1 / GEP100 / Src |
研究実績の概要 |
これ迄に、Arf6を中心とした細胞内シグナル経路が多くの乳癌の浸潤転移に関与していることを明らかにして来た。この経路において、Arf6はGEP100によって活性化され、活性化したArf6はAMAP1をエフェクターとする。GEP100はEGFR, Her2等チロシンリン酸化酵素型受容体(RTKs)に直接結合し、Arf6を活性化する。TGFβ1は、乳癌の癌幹細胞様細胞化と浸潤転移性獲得に最も高頻度で関与する因子であるが、TGFβ1はc-Metをtransactivateする事によってによってArf6経路を活性化した。このArf6活性化には変異p53が必要である事を見いだしていたが、本年度はその分子的実態を明らかにすることを目的とした。その結果、p53変異が幾つかのmiRNAの発現を変化させる事によって、Arf6経路蛋白質群の発現を促す事、一方、p53変異が細胞内の特定の代謝活性を変化させることによってRTKからのArf6活性を促す事を明らかにした。このArf6経路は、乳癌細胞の間充織様形質への変換に伴って創出される、mesenchymal invasion machineryであることを明らかにした。臨床標本の免疫染色解析から、このArf6経路因子群の発現は、乳癌温存療法後の局所再発と高い有意さを持って相関する事 をその分子的基盤と共に明らかにした。また、Src活性化によるmicroRNAを介したmTOR経路の活性化が細胞接着斑形成の破綻を引き起こし、がん悪性化に繋がることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は研究進捗に大きな進展がみられた。特許申請との関係があり、現時点では詳細に記載出来ないが、p53変異とArf6経路との関係に関して予期していた以上に理解が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
まずもって、p53の変異がどのようにしてRTKからのArf6活性化に関与するのか、さらに詳細な分子メカニズムを明らかにする。またSFKの活性化がmicroRNAの発現を制御しているメカニズムについても解析する。続いて、それに関わる因子(群)に関して、病理標本解析を行ない、その妥当性と使用頻度を調べる。乳腺の移植実験系も早急に立ち上げ、動物個体における解析系の構築へと向かう。
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