がん微小環境における細胞老化の役割の解明を目指した研究を行い、以下の3つの研究成果を得た。(1) 細胞老化を起こすと、ヒストンメチル化酵素であるG9aおよびGLPがタンパク分解を起こすことでエピジェネティックなサイレンシング機構が破綻し、SASP因子が発現する。(2)マウスを用いた実験により肥満に伴う肝がんの発症に細胞老化を起こした間質細胞が分泌するSASP因子が促進的に働いていることを見出した。(3) SASP因子の発現は本来、損傷治癒を促進するために重要な役割を担っているが、過度に作用すると発がんを促進する副作用を示すことを明らかにした。
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