研究実績の概要 |
(1) 雑種発育不全のエピジェネティック制御機構の解析 胎仔・胎盤の成長の抑制が見られるキャンベルハムスター雌とジャンガリアンハムスター雄の雑種において、インプリント遺伝子であるAcl2/Mash2, Cd81, Dcn, Gatm, Igf2r, Kcnq1ot1, Mest/Peg1, Plagl1, Peg3, Usp29で、顕著な胎児の過成長と胎盤の肥大が見られる逆交配ではAcl2/Mash2, Cd81, Dcn, Dlk1/Peg9, Gatm, Grb10/Meg1, Igf2r, Kcnq1ot1, Mest/Peg1で両親性発現が見られることを明らかにした。さらに、これらの遺伝子のメチル化可変領域でメチル化パターンの変化が観察された。 (2) 雑種の胚性致死を引き起こす遺伝子発現制御機構の解析 ニワトリ-ウズラ間の雑種胚における発生中止の時期とその性的特異性を明らかにするために、昨年度に引き続き多くの受精卵で胚発生の観察を行った。その結果、培養開始後7日の時点で雌選択的な致死、あるいは顕著な発生異常が起こることを明らかにした。また、培養7日以降の多くの死亡胚(雄を含む)で顕著な形態異常が観察された。特に初期発生に着目して観察を行ったところ、受精後間もないステージ1前後で発生の停止が高頻度に起こる(受精卵のうち約38%)ことを明らかにした。 (3) 異質倍数化後に生じたゲノム・染色体再編成の細胞遺伝学的検証 cDNAクローンのFISHマッピングによって、異質四倍数体種のアフリカツメガエルと二倍体種のネッタイツメガエルの比較染色体地図を作成し、同祖染色体9組を全て同定した。さらに、2組の同祖染色体間に逆位が存在することを除けば、2種間ならびに同祖染色体間での相互転座は検出されず、異質四倍数体化後も遺伝連鎖群は高度に保存されていることを明らかにした。
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