計画研究
1)F1雑種の胎仔と胎盤の成長に抑制が見られるキャンベルハムスター雌とジャンガリアンハムスター雄間の交配、逆に著しい過成長が見られる逆交配によって得られた14.5日齢と17.5日齢の胎仔と胎盤を用いて、インプリント遺伝子の発現とメチル化可変領域(DMR)のメチル化状態を調べた。その結果、雑種の発育不全に強く関わる遺伝子(Dlk1/Peg9, Gatm, Kcnq1ot1, Mest/Peg1など)でDMRでメチル化の変化が検出された。2)ウズラとニワトリのF1雑種胚に見られる発育不全と雌特異的な選択的胚性致死の分子メカニズムを解明する目的で、放卵直後(stage X)のウズラ胚、ニワトリ胚、雑種胚を対象に、高速シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析を行い、雑種胚と親種胚との間で発現変動する遺伝子の検出を試みた。その結果、ニワトリと雑種のニワトリアレル間で雌雄に関係なく変動が見られる遺伝子が111遺伝子、ウズラと雑種のウズラアレル間では11遺伝子が検出された。3)異質四倍体であるアフリカツメガエル(Xenopus laevis)染色体に対し、起源の異なる二倍体種由来のレトロトランスボゾン配列のFISH解析を行い、同祖染色体の起源(AゲノムとBゲノム)の識別に成功した。その結果に基づき、同祖染色体を明確に区別した国際水準の分染染色体イディオグラムを作成した。
4: 遅れている
平成26年度には、蛍光タンパクを発現する遺伝子導入(TG)-ウズラを米国から導入し、TG-ウズラの雌雄細胞間の胚盤葉キメラを作出して、キメラ性腺におけるZZ細胞とZW細胞の生殖細胞への分化について研究を行う予定であった。しかし、導入先の研究所が所在するカリフォルニア州で鳥インフルエンザが発生し、家禽の輸出が禁止となったため、TG-ウズラの種卵の導入が8か月遅れた。そのため、本研究は平成27年度に実施することとした。
1)キャンベルハムスターとジャンガリアンハムスター間のF1雑種の胎仔と胎盤を用いて、全ゲノムレベルでのメチローム解析を実施する。そして、メチル化の変動が見られるゲノム領域を特定し、雑種の発育不全とエピジェネティックな遺伝子発現制御の関係を明らかにする。2)ウズラ-ニワトリ間のF1雑種の孵卵約8時間後(stage XIII)の胚についてもトランスクリプトーム解析を行うとともに、雑種胚の発育不全に関わるこれらの遺伝子の機能についても詳細な解析を進める。3)FISH法を用いて、大量のBACクローンをアフリカツメガエル染色体にマッピングし、高精度の遺伝子染色体地図を完成する。そして、異質四倍体化後に2種のゲノム間に生じた調和と軋轢によって引き起こされたゲノム・染色体進化の過程を明らかにする。4)蛍光タンパクを発現するTG-ウズラを用いてキメラ個体を作出し、キメラ性腺におけるZZ細胞とZW細胞を識別することによって、ZZ細胞とZW細胞のキメラ率と性腺分化の関係、キメラ性腺におけるZZ細胞とZW細胞の生殖細胞への分化、そしてドナー細胞由来の配偶子の形成と次世代への伝達について調べる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件)
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