計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
異種ゲノムが出会った際に生じる雑種異常や異種間交雑を防ぐ生殖隔離の分子機構について、野外動物において解明された例は殆どない。申請者らはトゲウオ科魚類のイトヨとトミヨに着目し、国内外の研究者との必要な共同研究体制を整え、野外動物における種分化遺伝子の特定、及び、雑種異常の遺伝機構、エピジェネティックス機構を明らかにすることを目指している。初年度は、研究に利用するトゲウオ7種の全ゲノム解読を完了させ、また、日本海型と太平洋型の雑種不妊の有力な候補遺伝子をいくつか見いだした。現在、これらの遺伝子をクローニング中であり、完了次第、試験管内でのヒストン結合能などの生化学的機能解析、培養細胞での機能解析へと順次進めていく.また、Hiseq2000を用いてトゲウオ7種の全ゲノム解読、それに引き続いてゲノム比較を行い、また、オリゴカスタムマイクロアレイを用いてトランスクリプトーム比較を行った.その結果、まず、脳に発現する遺伝子の発現種間差を示す遺伝子がネオ性染色体に多いなど興味深い成果を得た.また、性染色体の異なる太平洋と日本海のイトヨのオスとメスの配列を解読し比較した結果、ネオY染色体の退縮はいまだ軽度であることが明らかになり、ネオ性染色体の進化を理解するEで極めて重要な知見が得られた。また、イトヨ属の近縁のトミヨ属の複数種を野外より採集し、初年度にはこれらの表現型分化について解析を行うとともに、複数種間の雑種を作出した。現在これらを水槽で育成中であり、来年度に雑種異常を観察する。また、その遺伝基盤を解明する。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、初年度は、次年度以降の研究基盤の確立を目指して、研究に利用するトゲウオ複数種の配列を決定することが出来た。また、次年度の研究に必要な交配系統も作出できたから。
現在、雑種異常の候補遺伝子をグローニング中であり、完了次第、試験管内でのピストン結合能などの生化学的機能解析、培養細胞での機能解析へと進めていく。また、イトヨ属の近縁のトミヨ属の複数種を野外より採集し、複数種間の雑種を作出した。現在これらを水槽で育成中であり、来年度に雑種異常を観察するとともにその遺伝基盤を解明する。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) 備考 (2件)
Evolution
巻: (in press)
DOI:10.1111/j.1558-5646.2012.01681.x
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DOI:10.1002/ece3.235
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Journal of Fish Biology
巻: 80 ページ: 131-146
PLoS ONE
巻: 6 ページ: e29253
http://www.nig.ac.jp/labs/EcoGene/
http://www.nig.ac.jp/Research-Highlights/992/1055.html