研究領域 | ゲノム・遺伝子相関:新しい遺伝学分野の創成 |
研究課題/領域番号 |
23113009
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | (財)岩手生物工学研究センター |
研究代表者 |
寺内 良平 (財)岩手生物工学研究センター, 生命科学研究部, 研究部長 (50236981)
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研究分担者 |
吉田 健太郎 (財)岩手生物工学研究センター, 生命科学研究部, 研究員 (40570750)
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キーワード | 集団遺伝学 / 全ゲノム解析 / イネ / いもち病菌 / シーケンス / 耐病性 / 共進化 / 病原菌 |
研究概要 |
宿主-病原菌間の相互作用は強力であり、生物進化の原動力の一つと言われている。相互作用に直接関わる双方の生物の遺伝子には、「軍拡競争」モデルや「赤の女王」モデルで説明される特異な相互作用が働く。こうした相互作用は、関連遺伝子およびその周辺のゲノムのDNA配列上に特徴的な痕跡を残す。次世代シーケンサーによる近年の高速での全ゲノム解析が、種内変異と近縁種間の変異の検出・解析(集団ゲノム学:Population genomics)を可能にした。本課題では、植物とその病原菌・寄生者の共進化で生じる強い自然選択がゲノムに残した痕跡を同定して、選択の働いた遺伝子を見いだし、その機能を解明することに焦点を当てる。平成23年度は、以下の研究を実施した。 (1)イネ交配後分離集団の全ゲノムバルクシーケンスによる適応関連遺伝子領域の同定 イネの系統間交配後に得られる分離集団(F2,Recombinant Inbred Linesなど)を材料にして、特定の形質を示す個体のゲノムDNAをバルクして全ゲノムシーケンスすることにより、形質を支配する遺伝子の座乗するゲノム領域を同定する手法を開発した(Abe et al. Nature Biotechnol. 2012)。今後、本技術を駆使して、いもち病菌抵抗性に関わるイネ遺伝子を同定する。 (2)全ゲノム塩基解析によるイネいもち病菌の集団ゲノム解析 イネいもち病菌(イネ菌)、アワいもち病菌(アワ菌)各5系統の全ゲノムDNAの変異を解析することにより、本病原菌の集団遺伝学的解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通り努力傾注したため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)より多くのイネ交配集団を利用して、イネ-病原菌の共進化に関わる遺伝子座を同定する。 (2)野生植物の全ゲノム解析を実施することにより、適応に関与してゲノム領域を同定する技術を開発する。
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