• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

テロメア構成因子による染色体の統合的制御機構

計画研究

研究領域ゲノムを支える非コードDNA領域の機能
研究課題/領域番号 23114009
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関大阪大学

研究代表者

加納 純子  大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (10323809)

キーワード染色体 / テロメア / ネットワーク / クロマチン
研究概要

線状染色体の末端に存在するテロメアは、染色体の代表的な機能を持った非コードDNA領域であり、世代を超えた染色体の維持、細胞老化のタイミング等に深く関与している。近年、テロメア結合蛋白質のテロメアにおける機能の理解は飛躍的に深まった。一方、テロメア蛋白質が非テロメア領域にも局在することや、テロメア以外の機能性非コードDNA領域で働く蛋白質がテロメアにもリクルートされることが明らかにされつつある。そこで、本研究ではゲノムワイドなヘテロクロマチンネットワークの一員としてのテロメアの新機能の解明を目的とした。
23年度はまず、テロメアと核膜蛋白質との機能ネットワークについて解析を行った。分裂酵母のテロメア結合蛋白質Rap1は、細胞周期の間期において核膜蛋白質Bqt4と結合する。それによって、テロメアは普段核膜近傍に配置されている。生細胞観察によって、テロメアは細胞周期のM期において一時的に核膜から解離することがわかった。さらに、その解離はM期における正確な染色体分離に必要であることが明らかになった。次に、テロメアが核膜から解離するメカニズムを探った。その結果、Rap1がM期にCdc2キナーゼなどによって高度にリン酸化され、それによってRap1とBqt4との相互作用が阻害され、テロメアが核膜から解離することがわかった。以上のことから、染色体末端のテロメアが細胞分裂において重要な役割を果たしていることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

テロメアを基軸とした細胞核ネットワークの一つとして、テロメアと核膜タンパク質との機能リンクについて解明した(Current Biology, 2012)。この成果は国内外において高い評価を得ている。

今後の研究の推進方策

1)サブテロメアの機能解析
テロメア内に存在するサブテロメア領域の機能は今日までほとんど明らかになっていない。しかし、セントロメアなどで機能することが知られている蛋白質がリクルートされることはわかっており、テロメアと他の染色体ドメインとの機能相関が推測される。そこで、サブテロメアの機能を明らかにするため、サブテロメア完全欠損株の作製を行い、その表現型を詳しく解析する。
2)テロメア結合蛋白質の他の染色体領域での機能解析
テロメアで機能することが知られているRap1などがテロメア以外の染色体部位にも局在するのかどうかをChIP-Seq解析によって調べ、そこでの機能を解明する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 7件)

  • [雑誌論文] Telomere-nuclear envelope dissociation promoter by Rap1 phosphorylation ensures faithful chromosome segregation.2012

    • 著者名/発表者名
      Fujita I.
    • 雑誌名

      Current Biology

      巻: 22 ページ: 1932-1937

    • DOI

      10.1016/j.cub.2012.08.019.

    • 査読あり
  • [学会発表] Roles of telomere in closed mitosis.

    • 著者名/発表者名
      Kanoh J.
    • 学会等名
      The 6th international fission yeast meeting
    • 発表場所
      Martin Conference Center, Harvard MEdical School, Boston, USA
    • 招待講演
  • [学会発表] 核膜非崩壊分裂における染色体末端テロメアの機能

    • 著者名/発表者名
      加納純子
    • 学会等名
      第73回酵母研究会
    • 発表場所
      甲南大学、神戸
    • 招待講演
  • [学会発表] Closed mitosisの進行を保障するテロメア-核膜ネットワーク

    • 著者名/発表者名
      加納純子
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館、京都
    • 招待講演
  • [学会発表] Closed mitosisにおけるテロメアの役割

    • 著者名/発表者名
      加納純子
    • 学会等名
      第75回大阪大学生命機能研究科研究交流会
    • 発表場所
      大阪大学大学院生命機能研究科、大阪
    • 招待講演
  • [学会発表] 分裂酵母Schizosaccharomyces pombeを用いたゲノム機能研究

    • 著者名/発表者名
      加納純子
    • 学会等名
      大阪大学寄附講座・酵母リソース工学開設記念講演会
    • 発表場所
      大阪大学銀杏会館、大阪
    • 招待講演
  • [学会発表] Genome-wide networks by telomere-associated proteins.

    • 著者名/発表者名
      Kanoh J.
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会ワークショップ
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、横浜
    • 招待講演
  • [学会発表] 核膜非崩壊分裂を保障するテロメア-核膜ネットワーク

    • 著者名/発表者名
      加納純子
    • 学会等名
      東北大学生命科学研究科セミナー
    • 発表場所
      東北大学生命科学研究科、仙台
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi