計画研究
1)染色体ストレス高感受性部位の網羅的解析:てヒト細胞のFANCD2遺伝子C末領域に3xFLAGタグをノックインし、太田班との連携でChIP-seq法を実施した。低用量アフィディコリンの刺激下でFANCD2は既知のcommon fragile siteとして知られる領域、しかも遺伝子領域(イントロンを含む)に一致して局在していた。この結果は、複製ストレス応答におけるFANCD2の集積に転写の影響が大きいことを示唆する。今後はD2の集積に及ぼす転写やスプライシングの影響について調べる。2)複合体プロテオミクスによる複製フォーク安定化と崩壊機構の解析: FANCD2に会合するCtIPはFAND2依存的にクロスリンク損傷局所に集積し、クロスリンク部位切断後のDNA二重鎖切断の末端処理に機能することがわかった。この結果は、Cell Reports 2014 May 22;7(4):1039-47.にて報告した。3)In Cell AnalyzerによるsiRNAスクリーニング解析に供するため、(1)FANCAのCRISPR/CASによるノックアウト(293T、U2OS)、(2)FA患者細胞、およびペアとなる相補された細胞(GM6914、GM6914+FANCA)のGFP、RFP、mCherryなどの発現、(3)細胞周期マーカFUCCIの発現(U2OS)等を行った。MMC刺激後の細胞数の解析では、GM6914よりもGM6914+FANCAの方が明確な低下を示しており、スクリーニングに使用しにくいことがわかった。今後、細胞周期などのパラメータをテストする。4)RPAに会合する新規分子(従来比較的解析されていない)が相同組換えと複製ストレス応答に重要であることを同定した。複製フォーク安定化に重要と考えられる。この分子の生化学的な解析を進めているが、同時に個体レベル機能の解明のため、ゼブラフィッシュのシステムを導入した。今後、CRIPSRによるノックアウト個体を準備する。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調に成果を得ており、オリジナル論文も出版した。今年度は、懸案のChIP-seq法の実施に成功し、興味深い結果を得ている。
siRNAによるスクリーニングを準備しており、今後出来るだけ早く実施する。また、ゼブラフィッシュにおける個体レベルの機能解析による新知見創成を目指す。この目的で今年度小型魚類飼育システム、実体顕微鏡を導入した。またマイクロチップ電気泳動装置は、ゼブラフィッシュの遺伝子型決定、次世代シーケンサーサンプルの検証、ノックアウト細胞・ゼブラフィッシュノックアウト作成を効率化する目的で導入した。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
PLoS One
巻: 9 ページ: e114752
10.1371/journal.pone.0114752.
Stem Cell Reports.
巻: 3 ページ: 676-89
10.1016/j.stemcr.2014.08.006.
Protein Expr Purif.
巻: 103C ページ: 8-15
10.1016/j.pep.2014.08.012
Cell Reports
巻: 7 ページ: 1039-47
10.1016/j.celrep.
巻: 7 ページ: 1849-57
Biochim Biophys Acta.
巻: 1843 ページ: 1002-12
10.1016/j.bbamcr.2014.01.005.
http://www.rbc.kyoto-u.ac.jp