計画研究
本計画研究は、1分子デジタルELISA法を利用した1細胞タンパク質計数法、超解像顕微鏡と2改変型蛍光タンパク質に基づいた1細胞タンパク質計数法、の2つの技術課題を中心に取り組む。1細胞単位のデジタルELISA法:昨年度はヒトU937細胞を用い、1細胞中のbeta-galactosidase数のカウンティングを実施し、1細胞当たり30万個のオーダーであることが分かった。また、これまでの研究から予測された、タンパク質数の各細胞間のばらつきよりも今回の実験では小さいことが分かった。また、今後の実験では大量のマイクロデバイスを消費することが予想されたため、96穴プレートをベースとしたドロップレットアレイデバイスを作成し、その検証を行った。高速超解像蛍光顕微鏡の開発:昨年度は分子を異なる複数の蛍光波長を持つ量子ドットで標識して波長軸上で分離・識別しながら観察する技術を開発した。具体的には、発光波長の異なる蛍光量子ドット7個が、回折限界内に存在していても、分離観察できることを確かめている。
2: おおむね順調に進展している
当初計画では、25年度中に1細胞内のタンパク計数法の開発を完了し、1細胞デジタルエライザの開発の開始と1細胞計測のハイスループット化に取り組む予定であった。この計画に対し、この通りに進行している。また、超解像顕微鏡の開発に関しても、当初の予定道理に開発を進行している。
26年度は1細胞計測のハイスループット化を中心に進める。先ほど述べた96穴プレートベースのアッセイを確立し、実験のスループットを向上させる。また、このアッセイが確立すれば、ロボットを活用したアッセイの自動化も視野に入れることができる。その為、ロボットを用いた全自動アッセイシステムの開発にも着手する。さらに、顕微鏡画像取得からデーター解析までを行うソフトウエアの開発にも取り組む。また、超解像顕微鏡の開発においては、昨年度開発した波長分離超解像イメージング法の空間情報は1次元に制限されていた。1次元の場合、ミオシンやキネシンに代表される並進モータータンパク質の協同的動態の観察に適している。本年度は、波長分離超解像法で2次元画像を取得する技術を確立する。さらに、ナノロッドの異方性散乱を利用した超高速1分子計測手法を用いて、実際の分子機械の構造ダイナミクスを計測する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 9件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
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