研究領域 | 少数性生物学―個と多数の狭間が織りなす生命現象の探求― |
研究課題/領域番号 |
23115003
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永井 健治 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20311350)
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研究分担者 |
金原 数 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30282578)
堀川 一樹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任教授 (70420247)
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キーワード | 少数分子系 / 分子個性 / 協同性 / 階層間相互作用 / コヒーレンス |
研究概要 |
本研究計画班では、生物における少数分子ネットワークにおける数および生理機能を定量可視化・操作可能とする技術の開発を目的としている。本年度は、 1、細胞内の生理機能を可視化可能な蛍光・化学発光センサー 2、蛍光強度ゆらぎを利用する超解像顕微鏡に用いることができる高頻度ブリンキング蛍光プローブ3、光操作を可能とするタンパク質および合成化合物 4、細胞性粘菌における内在性遺伝子の蛍光タンパク質によるタグ化 を中心とした開発を行ってきた。 1に関しては、蛍光タンパク質の円順列変異体を利用したCa^<2+>センサーの高ダイナミックレンジ化、多色化に成功し、マルチカラー機能イメージングへ道を切り拓き、高輝度LED光源を利用して簡便・安価にマルチカラーイメージングを行うことが可能な共焦点顕微鏡システムの開発に成功した。また、旧来の化学発光タンパク質よりも10倍以上明るい化学発光タンパク質やCa^<2+>、ATP、cAMPに対する発光センサーの開発に成功し、生物学的な応用研究を遂行中である。 2に関しては、従来の光変換型蛍光タンパク質に対し遺伝子改変を行うことで、光変換応答時間、蛍光槌色耐性の高い変異体を得ることに成功し、少数性生物学に必須の技術である超解像イメージング法への応用研究を展開している。 3に関しては、大腸菌走化性応答における化学誘引物質セリンのケージド化合物を開発し、AO2-2班との連携を進めている。また、単量体型光増感タンパク質の開発に成功し、光不活性化法(CALI)へ応用中である。 4に関しては、cAMPシグナル伝達系の構成因子であるCAMP受容体、cAMP合成酵素を緑色/赤色蛍光タンパク質でタグ化した細胞株を樹立し、これらの分子数計測を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高輝度化学発光プローブの開発や、高頻度ブリンキング蛍光タンパク質の開発は順調であり、細胞内機能活性イメージングが可能となっている。細胞内遺伝子のタグ化には長大な時間が必要であることが予想されるが、順調に作成を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
すでに開発中である、高頻度ブリンキング蛍光タンパク質のさまざまな細胞内ドメインに発現させ、超解像顕微鏡下による可視化を行うことで、極微笑領域における分子数計測を目指す。また、継続して細胞性粘菌内在遺伝子のタグ化を進めていく。光操作可能な機能性化学物質を作成することで、細胞に対して多方面からの操作可能なプローブ開発を引き続き行う。
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