研究実績の概要 |
コマのような新しいべん毛運動の発見,およびその解明:細菌のべん毛が「スピン+旋回運動」というコマのような回転挙動をしていることを実験により見出しました。また独自の理論により、その回転メカニズムは、べん毛が作り出す流れで説明できることを明らかにしました。(Scientific Reports, 5, 18488 (2015)). カーボンナノチューブで生体分子活性を制御することに成功:カーボンナノチューブ1本上で生体分子モーターの運動活性を観察し、レーザー照射によって運動速度を制御する新技術を開発した。ミオシンをカーボンナノチューブ上に吸着させ、ATPと蛍光ラベルしたアクチンフィラメントを与えると、カーボンナノチューブに沿ってアクチンフィラメントが滑り運動するのが蛍光観察された。さらに、滑り運動中に、カーボンナノチューブの片端だけを、レーザー照射によって加熱したところ、アクチンフィラメントがカーボンナノチューブに沿って滑り運動する速度が、レーザー照射時だけ高速化することが分かった(ACSnano, 9, 3677-3684, 2015) 細細胞内シグナル伝達構成要素の直接的イメージング:緑色蛍光タンパク質によるCheYの蛍光イメージングと、モーターの回転方向転換を同時に計測しました。その結果、モーターの回転方向転換がCheY-Pの結合・解離によって直接制御されることを実証することができました。CheY-P分子は必ずしもモーター基部体のすべての結合部位(34箇所)に結合する必要はなく、13個の結合で時計回りの回転を誘導すること、回転方向転換時にCheY-P分子は~100 ms以内にモーターと結合・解離すること、時計回転型のモーターの方がCheY-Pに対する親和性が高いことなどが分かってきました。(Science Signaling, 319, ra32, 2014)
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