研究領域 | 少数性生物学―個と多数の狭間が織りなす生命現象の探求― |
研究課題/領域番号 |
23115005
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
前島 一博 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00392118)
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研究分担者 |
谷口 雄一 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (90556276)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 核酸 / ゲノム / 生体分子 |
研究実績の概要 |
ゲノムの足場の動きの解析 -個々のヌクレオソームと線維の動き- 本計画研究では遺伝子発現制御のうち、「ゲノム情報がいかに検索されるのか?」に焦点をあわせ、少数性分子による情報検索原理を「ゲノムの足場の動き」と、ターゲットを探す「転写因子の動き」の両面から明らかにすることを目的としている。24年度の実績は以下の通りである。 1.PA-GFP-H4発現細胞でのヌクレオソーム1分子観察 (前島, 谷口, 高橋) ヌクレオソーム1分子をイメージングし、ゲノムの足場の動きを調べるために、代表者らはPA-GFP(photo-activated GFP)でラベルされたヒストンH4を用い、細胞内で極めて少量発現させた。PA-GFPは、通常レーザー刺激によって活性化し、蛍光を持つようになるが、代表者らは、極少数のPA-GFPが自然活性化することを利用し、ヌクレオソームイメージングをおこなった。具体的には、生細胞でビデオレート観察をおこない、1個1個のヌクレオソームの動きをトラッキングし、移動データを集めた。そして、連携研究者高橋らの協力を得て、ゲノムの足場の動き(個々のヌクレオソーム)を、実験で得られた物理パラメータを用いて再現した。 2.谷口らは、核内タンパク質(ヌクレオソーム・転写因子等)1分子のダイナミクスの高精度解析を行うための新しい顕微鏡装置を開発し、特許を申請した(特願2013-079956)。本装置では、細胞内の全ての領域にわたって1分子蛍光の可視化を行い、その3次元像を得ることができる。現在、さらなる高精度化の実現を目指して、測定の妨げとなる真核・動物細胞特有の自家蛍光を除去する方法論の開発を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
生細胞のなかで、ヌクレオソームの動きを実際に観察して「ゆらぎ」を証明できた。さらに、連携研究者高橋の協力によって、ヌクレオソームのゆらぎによって、タンパク質が細胞の核や染色体の中をより自由に動き、DNAとアクセスしやすくなることがわかった。また、論文としても報告した。
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今後の研究の推進方策 |
順調に遂行している。今後、新しく開発した顕微鏡装置によって、1個1個のヌクレオソームの動きをさらに精密化する。
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