計画研究
べん毛輸送システムの働きで行われる細菌べん毛形成は、輸送シャペロンや離合集散する可溶性輸送装置蛋白質など、多機能性を有する少数分子のふるまいが大きく影響する生命現象である。本研究では、べん毛輸送システムを再構築し、システムの構造を明らかにすると共に構成要素の数・種類・エネルギー源を操作して輸送を測定し、輸送装置の作動機構、べん毛形成の分子機構、べん毛本数決定のしくみを明らかにすることを目的としている。以下に今年度の主要な成果を記す。反転膜小胞人工系を用いた輸送計測から以下のことを明らかにした。1)FliKの添加による輸送基質特異性切替え実験から、FliKの添加のみで特異性切替えが起こること、FliKの量に応じて形成されるフックの長さの分布がin vivo実験と同様に変化することを示し、反転膜系がin vivo状態における基質特性スイッチを再現できることを示した。2)精製したロッド-フック型蛋白質、フィラメント型蛋白質、輸送シャペロン、輸送系細胞質蛋白質、およびFliKを加えて輸送を開始させ、べん毛軸構造を反転膜内に作成することに成功した。3)クラスII蛋白質である、distal rod蛋白質、proxymal rod 蛋白質、フック蛋白質に輸送順序があり、輸送装置と輸送基質蛋白質のみで輸送順序が決定されることを明らかにした。4)反転膜内へ輸送された基質を基質にラベルした蛍光物質の蛍光により検出することに成功した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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