研究領域 | メゾスコピック神経回路から探る脳の情報処理基盤 |
研究課題/領域番号 |
23115102
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 亘彦 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00191429)
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研究分担者 |
藤島 和人 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点助教 (20525852)
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研究期間 (年度) |
2011-07-21 – 2015-03-31
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キーワード | 大脳 / 軸索分岐 / RhoA / Unc5B |
研究概要 |
本領域においては神経活動依存的な軸索の分岐形成のメカニズムを研究し、昨年度までにNetrin-4が神経活動依存的に大脳皮質での発現を増加させ視床皮質軸索の分岐形成を促進させること、ならびに発達期視床細胞にUnc5BがNetrin-4の受容体として働き得ることを示した (Hayano et al. 投稿中)。本年度は、Unc5B受容体からの細胞内シグナル伝達機構を明らかにすることを目指し、皮質上層ニューロンを起源とする水平軸索の系を用いて解析した。これまでの研究によって低分子量GTPaseのRhoAが軸索分岐に促進的に作用することを見出していることから(Ohanmi et al., 2008)、Unc5BからRhoAに至る経路として、Rho-specific guanine nucleotide exchange factor (RhoGEF)の一つLARGに着目した。まず、LARGの発現をin situ hybiridization法により調べ、生後ラット大脳皮質に発現することが明らかになった。また、皮質切片培養において、LARGの全長と蛍光タンパク質の発現ベクターと共に上層ニューロンに電気穿孔法によって遺伝子導入し過剰発現させた。その結果、EYFPだけで標識された軸索(コントロール)に比べて、LARGを導入した軸索では分岐が有意に増大することが明らかになった。以上のことから、皮質ニューロンの軸索分岐に対して、Unc5B-LARG-RhoAの経路が促進的に作用することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軸索分岐の分子機構として、細胞内シグナル伝達のメカニズムの重要な様相が明らかになり、最終年度までにその全貌が明らかになることが期待できる状況になった。
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今後の研究の推進方策 |
過剰発現実験において軸索分岐の顕著な増大が見出されたことから、loss-of-functionの実験を行うとともに、神経活動依存性を明らかにすることを目指す。
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