計画研究
本新学術研究においては、軸索分岐を制御する分子機構とそれが神経活動に依存するメカニズムを明らかにすることを目指し、伸長する軸索側と標的細胞側のそれぞれの側での制御機構を解析してきた。本年度は最終年度として、それらのメカニズムを統合することによってその全貌を総括すると共に、新たに必要なメカニズムを探索した。視床皮質投射系をモデル系として、標的である大脳側で神経活動に依存してNetrin-4や神経栄養因子BDNFがそれらの発現を増大させ、視床軸索の分岐を促進させることが明らかになったが、神経活動依存的に発現量を減少させる逆のメカニズムを想定しその分子探索を行った。そのために、正常な明暗環境と暗環境とで飼育したラットの一次視覚野での遺伝子発現、ならびに通常の培養条件とテトロドトキシン存在下で培養した大脳皮質切片での遺伝子発現をそれぞれ比較し、神経活動に依存して発現量が減少する遺伝子を探索した。その中で、軸索伸展に作用する可能性のある細胞外分子を対象とすると、c-kit受容体のリガンドであるkit ligandが見出された。一方、軸索側では低分子量GTPaseの一つRhoAが神経活動依存的に軸索分岐を促進させることを示しており、それを制御する分子としてRhoGEF群に着目した。幾つかのRhoGEFの過剰発現により軸索分岐が促進されることから、RhoGEFがRhoAを活性化し軸索分岐に促進的に作用すると考えられる。これらについて神経活動依存性を調べたところ、神経活動に依存して発現を増大させるものは見出されなかったが、発現が有意に減少させるものが見出された。これらのことから、神経活動に依存した軸索分岐のメカニズムには正負2つの要因があることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Developmental Neurobiology
巻: 76 ページ: 323-336
10.1002/dneu.22317
Scientific Report
巻: 5 ページ: 10662
10.1038/srep10662
http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/neurobiol/