計画研究
アルギニンのメチル化は主要な翻訳語修飾として転写制御、mRNAスプライシング、DNA修復、シグナル伝達等幅広い生命現象に関与する。アルギニンメチル化を行う酵素がprotein arginine methyltransferases (PRMTs)であり、哺乳類には九種類存在する。まず線虫由来CePRMT7に注目しX線結晶解析によって立体構造を決定し構造科学的な研究を行った。CePRMT7の単量体構造は、分子内に二つタンデムに存在するコアドメインが会合してコアダイマー構造をとる新規構造であった。N末端側活性部位の変異体を作成しAdoMet結合実験を行った結果、変異体のAdoMet結合能は大きく低下し、CePRMT7のコファクター結合部位がN末端側コアドメインのみであろうことを示した。またPRMT8はPRMT1と高いホモロジーを示すが、その会合状態は大きく異なっており8量体をとっていることを示した。さらにこの多量体構造が活性や細胞内局在に重要であることを示した。mRNAの細胞内レベルは多くの異なるメカニズムを通して制御され、それらはmRNAの生合成や安定性、分解を制御している。転写や炎症、免疫の制御に重要なタンパク質をコードするmRNAの多くが3’ UTR(untranslated region)にCDE(constitutive decay element)と呼ばれるステムループモチーフを持つ。RoquinのROQドメインはCDE中の保存されたステムループモチーフを認識し、標的RNAに脱アデニル化酵素を含むCCR4-NOT複合体をリクルートすることでmRNAの分解を促進し、不適切なT細胞活性化を抑制しているが知られている。我々はRoquin自体の構造およびRoquinによるステムループモチーフの認識機構を明らかにた。興味深いことにこのドメインはDNA結合モチーフの一つであるwHTH(winged Helix-turn-Helix)をとっていた。さらにRNAとの複合体構造も決定し、片側のステム領域が認識されていることやwHTHのwing領域がRNAのループ領域を認識しているなど、詳細な認識機構を明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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