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2012 年度 実績報告書

クロマチン変換による代謝リプログラミングの分子基盤

計画研究

研究領域生命素子による転写環境とエネルギー代謝のクロストーク制御
研究課題/領域番号 23116009
研究機関熊本大学

研究代表者

中尾 光善  熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00217663)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2016-03-31
キーワード代謝調節 / クロマチン / 遺伝子発現 / リジン脱メチル化 / DNAメチル化 / フラビン
研究実績の概要

エピジェネティクス機構は、刺激の受容で行われる短期応答、そして、刺激が消失した後にも刺激を受容した記憶を維持する長期応答を通して、遺伝子制御に働いている。他方、転写不活性なクロマチンに位置する遺伝子は、刺激に対して不応になり得る。この転写環境としてのエピゲノム制御には、DNAのメチル化とクロマチンの形成が関わり、代謝恒常性の維持と破綻に重要な役割を果たしている。本研究では、生命素子と転写環境の観点から、DNAおよびリジン残基のメチル化・脱メチル化によるクロマチン変換に着目した研究を行い、代謝のリプログラミングの分子基盤を解明することを目的とする。LSD1は、ヒストンH3の4番目リジン残基の脱メチル化酵素であり、その酵素活性にフラビン(FAD)が補酵素として不可欠であることが知られている。LSD1が脂肪細胞で高く発現して、エネルギー消費を調節する新規機序を明らかにした。RNA干渉法や化合物を用いたLSD1阻害によって、脂肪細胞のエネルギー消費遺伝子の発現が誘導され、その結果、ミトコンドリア機能とエネルギー代謝が向上することが判明した。FAD合成経路またはFAD細胞内取込みの阻害によっても、LSD1阻害時と同様の効果が得られることが明らかになった。さらに、このようなエピジェネティックな代謝調節は、肝臓由来の細胞でも同様に働くことが分かった。エピジェネティクス機構の観点から、代謝リプログラミングと病態における新しい知見を提示し、その作動原理と生命活動における意義について解明を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

リジン脱メチル化酵素LSD1によるエネルギー代謝の制御について、数多くの新知見を得て、最先端の研究成果が出ているため。

今後の研究の推進方策

本研究は、当初の計画以上に進展しているため、研究計画の変更なしに推進する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] FAD-dependent lysine demethylase LSD1 regulates cellular energy expenditure2012

    • 著者名/発表者名
      Hino S.
    • 雑誌名

      Nat. Commun.

      巻: 3 ページ: 758

    • DOI

      10.1038/ncomms1755

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantitative assessment of higher-order chromatin structure of the INK4/ARF locus in human senescent cells2012

    • 著者名/発表者名
      Hirosue A.
    • 雑誌名

      Aging Cell

      巻: 11 ページ: 553-556

    • DOI

      10.1111/j.1474-9726.2012.00809.x.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Higher-order chromatin regulation and differential gene expression in human TNF/LT locus in hepatocellular carcinoma cells2012

    • 著者名/発表者名
      Watanabe T.
    • 雑誌名

      Mol. Cell. Biol.

      巻: 32 ページ: 1529-1541

    • DOI

      10.1128/MCB.06478-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rb/E2F1 regulate innate immune receptor Toll-like receptor 3 in epithelial cells2012

    • 著者名/発表者名
      Taura M.
    • 雑誌名

      Mol. Cell. Biol.

      巻: 32 ページ: 1581-1590

    • DOI

      10.1128/MCB.06454-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The role of methyl-binding proteins in chromatin organization and epigenome maintenance2012

    • 著者名/発表者名
      Fournier A.
    • 雑誌名

      Brief Funct. Genomics

      巻: 11 ページ: 251-264

    • DOI

      10.1093/bfgp/elr040

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒストン脱メチル化酵素LSD1による癌代謝制御2012

    • 著者名/発表者名
      坂元顕久
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡市、福岡国際会議場
    • 年月日
      2012-12-15
    • 招待講演
  • [学会発表] 細胞のエネルギー戦略とエピジェネティクス2012

    • 著者名/発表者名
      日野信次朗
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡市、福岡国際会議場
    • 年月日
      2012-12-12
    • 招待講演
  • [学会発表] エピジェネティクス機構によるエネルギー代謝調節と病態2012

    • 著者名/発表者名
      中尾光善
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第57回大会
    • 発表場所
      東京都、京王プラザホテル
    • 年月日
      2012-10-25
    • 招待講演
  • [学会発表] エピジェネティクス機構による細胞制御と病態2012

    • 著者名/発表者名
      中尾光善
    • 学会等名
      第35回日本基礎老化学会
    • 発表場所
      船橋市、東邦大学
    • 年月日
      2012-07-26
    • 招待講演
  • [学会発表] エピジェネティクス機構による細胞病態と治療2012

    • 著者名/発表者名
      中尾光善
    • 学会等名
      第18回日本遺伝子治療学会学術集会
    • 発表場所
      熊本市、熊本テルサ
    • 年月日
      2012-06-29
    • 招待講演
  • [図書] 栄養とエピジェネティクス―食による身体変化と生活習慣病の分子機構2012

    • 著者名/発表者名
      中尾光善
    • 総ページ数
      141
    • 出版者
      建帛社
  • [図書] シグナル伝達キーワード事典2012

    • 著者名/発表者名
      日野信次朗
    • 総ページ数
      349
    • 出版者
      羊土社
  • [備考] 熊本大学発生医学研究所ホームページ

    • URL

      http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp

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公開日: 2018-02-02  

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