計画研究
エピジェネティクス機構は、刺激の受容で行われる短期応答、そして、刺激が消失した後にも刺激を受容した記憶を維持する長期応答を通して、遺伝子制御に働いている。他方、転写不活性なクロマチンに位置する遺伝子は、刺激に対して不応になり得る。この転写環境としてのエピゲノム制御には、DNAメチル化とクロマチンの形成が関わり、代謝恒常性の維持と破綻に重要な役割を果たしている。本研究では、生命素子と転写環境の観点から、DNAおよびリジン残基のメチル化・脱メチル化によるクロマチン変換に着目した研究を行い、代謝のリプログラミングの分子基盤を解明することを目的とした。LSD1ファミリーは、ヒストンH3の4番目リジン残基の脱メチル化酵素であり、生命素子のひとつであるフラビン(FAD)がその酵素活性に不可欠である。本研究によって、LSD1が脂肪細胞でエネルギー消費を抑制し、脂肪蓄積を促進する新規の機序を明らかにした。この成果に基づいて、27年度には、肝癌細胞においてLSD1が好気的解糖と低酸素誘導性の転写因子HIFの安定化を維持していることを報告した。LSD1阻害によって、好気的解糖からミトコンドリア呼吸にシフトすることが分かった。また、もうひとつのファミリー分子であるLSD2が、肝癌細胞で脂肪代謝に重要な役割を果たすことが判明した。エピジェネティクス機構の観点から、代謝リプログラミングと病態における新しい知見を提示し、その作動原理と生命活動における意義について解明を進めた
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 図書 (2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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