計画研究
嫌気的マイトソームへのタンパク質輸送、分裂、生理機能の進化を解明するため、赤痢アメーバのマイトソームの30kDaベーターバレル型外膜タンパク質の局在を免疫電子顕微鏡、細胞分画法等により明らかにした。また、小麦胚芽無細胞タンパク合成系を用いて円偏向ニ色性解析を行い、物性を明らかにした。活性化型硫酸PAPSからコレステロール硫酸が合成されることを明らかにし、コレステロール硫酸がステージ転換に不可欠な役割を果たすことを明らかにした。嫌気的原生生物であるフォルニカータ生物3種および自由生活性EntamoebaのESTデータを、バイオインフォマティクス・分子系統解析によりさまざまな生物種のデータと比較解析し、各種代謝経路、オルガネラ(MRO)へのタンパク質移送機構などの分子進化に関する知見を得た。また、Kipferlia bialataに関しゲノム解析を展開した。さらに、細菌の混在下でフォルニカータ生物種のMROを精製するための方法論的検討を行った。環形動物と魚類を交互寄生して生存する粘液胞子虫 Kudoa septempunctataのゲノム情報とミクソゾア全般の比較ゲノム解析およびトランスクリプトーム解析とプロテオミクス解析の結果から、Kudoaの進化系統と特殊なミトコンドリアゲノム構造を明らかにした。ミトコンドリアDNA(mtDNA)に突然変異を有するミトコンドリア病モデルマウスにおいて、ミトコンドリアの分裂因子を臓器特異的にKOしたところ、元々のミトコンドリア病モデルマウスよりも病態が重篤化した。解析の結果、病原性突然変異型mtDNAの蓄積で機能異常となったミトコンドリアのターンオーバーが正常に働かず、機能不全ミトコンドリアが細胞内に蓄積していることがその原因ではないかと考えられた。
2: おおむね順調に進展している
計画通り順調に達成された。
次年度は以下の計画を行う。嫌気的マイトソームへのタンパク質・基質輸送機構、分裂機構を理解するため、赤痢アメーバのマイトソームの膜チャネルである細菌型の新規ベータバレル型タンパク質の性質・機能を解明する。また、マイトソームの分裂の分子機構を解明する。フォルニカータ生物、Kipferlia bialata および Dysnectes brevis に関しゲノム解析を完了するとともに、2者培養系を確立しMROを単離精製する。ゲノムデータを参照してMROのプロテオーム解析を実施し、真にMROに局在するタンパク質を同定する。環形動物と魚類を交互寄生する粘液胞子虫 Kudoa septempunctataのゲノムは極度に遺伝子縮退していることが示唆されている。胞子ステージから栄養体ステージへの推移に関与する遺伝子を動物腸管内のトランスクリプトーム解析にて特定し、ゲノム縮退と従属的な生活環の関連性を解明する。mtDNAの病原性突然変異とミトコンドリアの分裂異常が共存するマウスの病態解析をさらに継続する。また、新たにミトコンドリアの融合に異常をきたすマウスを用いた解析にも着手する。これらに加え、所属研究室における既存のmtDNA突然変異モデルマウスやモデル細胞を用いた解析を並行して行い、核-ミトコンドリア間クロストークの一端の解明を目指す。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (33件) (うち査読あり 33件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件) 備考 (1件)
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