研究領域 | マトリョーシカ型進化原理 |
研究課題/領域番号 |
23117006
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
稲垣 祐司 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50387958)
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研究分担者 |
小保方 潤一 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50185667)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | オルガネラ進化 / ゲノム進化 / 共生 / 光合成 / 窒素固定 |
研究概要 |
Rhopalodia科珪藻Epithemia turgidaの培養株から楕円体を粗精製し、DNAを抽出した。楕円体DNAを全ゲノム増幅し、イルミナHi-seq2000を用いてシークエンシングを行った。新たに取得したイルミナデータ(約5千8百万リード;合計5.8 Gbp)を、先行して取得していたGL-FLXを用いた454パイロシークエンスデータ(約20万リード;合計61 Mbp)と合わせてアッセンブルすることで、Epithemia turgida楕円体ゲノムを完全に解読することに成功した。この楕円体ゲノムは環状で約2.79 Mbpであった。 増殖状態が悪化したため網羅的発現遺伝子解析に十分な細胞量を準備できないEpithemia turgidaの代わりに、同じRhopalodia科珪藻であるRhopalodia gibberulaの培養株の確立に成功した。現在網羅的転写物解析と楕円体ゲノム解読を行うため、R. gibberula細胞を大量培養している。 Paulinella chromatophoraに関する解析では、P. chromatophora MYN1株の培養液中に混入しているバクテリアとその核酸を除去し、MYN1株に由来する核酸を高度に精製・調整する方法を開発した。この新たな方法により調製した核酸サンプルを、イルミナHi-seq2000を用いた網羅的発現遺伝子解析、ゲノム解析、網羅的転写開始点解析に供し、現在解析が進行中である。MYN1株の核ゲノム解析は進行中であるが、そのゲノムサイズはおよそ1M塩基対程度であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Rhopalodia科珪藻類にの解析は、新たにRhpalodia gibberulaの培養株の確立に成功し、楕円体ゲノム解析と網羅的転写物解析の準備が整った。必要なら宿主(珪藻)核ゲノムのシークエンスも行うことができる。 有殻アメーバPaulinella chromatophoraの解析については、使用しているMYN1株のゲノムデータの取得、網羅的発現遺伝子のデータの取得が順調に進行中である。また、共生体から宿主へ転移した遺伝子が受けている転写調節の解明をめざし、網羅的転写開始点解析データの整理を進める。
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今後の研究の推進方策 |
Rhopalodia科珪藻類にの解析は、Rhpalodia gibberulaについて網羅的転写物解析と楕円体ゲノム解読を行う。これらのデータを統合して楕円体ゲノムから宿主核ゲノムに転移した遺伝子の探索と同定を行うことが可能となる。 Paulinella chromatophoraの解析については、MYN1株の有色体ゲノムの完全解読、網羅的発現遺伝子データを統合することにより、共生にともない共生体(有色体)ゲノムから、宿主ゲノムに転移した遺伝子を厳密に同定する。
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