計画研究
Rhopalodia科珪藻Epithemia turgida楕円体ゲノムに関する論文を執筆、投稿した。Rhopalodia gibberulaの細胞を培養しRNAを抽出した後、イルミナHi-seq2000を用いて網羅的転写物解析(RNA-seq)を行い、合計約32 Gbpの配列を取得し、58,457の推定タンパク質配列を取得した。現在このRNA-seqデータ中に、楕円体ゲノムから珪藻ゲノムに転移した遺伝子(Endosymbiotic gene transfer; EGT遺伝子)の候補を探索している。それと並行して、R. gibberulaの楕円体ゲノムの完全解読を目指し、培養細胞から楕円体の精製を開始した。P. chromatophora MYN1株の培地に混入バクテリアとそれに由来する核酸を除去し、MYN1株の核酸を高度に精製・調製する方法を開発した。その核酸サンプルを、Hi-seq2000を用いたRNA-seq、網羅的転写開始点解析(TSS-seq)、有色体及び核のゲノム解析に供した。ゲノム解析から、MYN1株のゲノムサイズは約1Gbと推定され、また共生多ゲノムの完全解読に成功した(約 1Mbp)。またRNA-seqデータ中にEGT遺伝子を探索し、これまで検出されていなかった10種のEGT遺伝子を同定した。楕円体の起源となったシアノバクテリアを同定するため、16S rRNA遺伝子塩基配列を用いた分子系統解析を行い、楕円体がCyanothece属、Aphanothece属、Aphanocapsa属、Gloeocapsa属、Gloeothece属のいずれかから進化したことが分かった。さらに、このグループは楕円体を含めた6つの大きなクレードA-Eおよび楕円体クレードに分けられた。しかし、rRNA系統解析では楕円体の起源を精度よく同定できなかったため、クレードA-Eのゲノム解読を行った。ゲノムデータがないクレードBに属するCyanothece sp. NKBG520001株のゲノム解読に取り組み、3.4 Gbの塩基配列を取得した。
2: おおむね順調に進展している
Rhopalodia科珪藻類に関する解析でボトルネックであった培養株の確立に成功し、その培養株(R. gibberula)から網羅的発現遺伝子データの取得、楕円体ゲノム解読への足掛かりができ。計画はおおむね順調に進んでいる。Paulinella chromatophoraの解析に関しては、網羅的発現遺伝子データの取得と共生に伴ぅった遺伝子転移の全容把握、使用している培養株の有色体ゲノムの完全解読が完了した。また核ゲノムデータも取得も進んでおり、計画通りであるといえる。楕円体に直近な自由生活性シアノバクテリアとしてCyanothece sp. NKBG520001株のゲノム解読にめどが立ち、順調に研究は進んでいる。
R. gibberulaの楕円体ゲノム解読を行い、H25年度に行ったR. gibberulaゲノムからのRNA-seqデータと統合し、楕円体から宿主(珪藻)ゲノムに転移した遺伝子の探索を行う。また楕円体に局在するタンパク質を網羅的に同定することを目指し、R. gibberula楕円体精製を開始する。Paulinella chromatophoraについては核ゲノムの完全解読を目指し、メイトペア法やfosmidライブラリー等を用いて残されているgapを埋める。また昨年度に取得したデータを解析し、共生に伴う遺伝子転移の様式や、発現制御配列の性質とその獲得様式等の解析を進める。楕円体に直近な自由生活性シアノバクテリアとしてCyanothece sp. NKBG520001株のゲノム解読を進め、ゲノム全長を決定する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (32件) (うち招待講演 9件)
Genome Biology and Evolution
巻: 6 ページ: 305-315
10.1093/gbe/evu015
Nucleic Acids Research
巻: 42 ページ: D1188-D1192
10.1093/nar/gkt1027
BMC Evolutionary Biolology
巻: 13 ページ: ―
10.1186/1471-2148-13-131
PLoS ONE
巻: 8 ページ: ―
10.1371/journal.pone.0058458
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology
巻: 63 ページ: 2992-3002
10.1099/ijs.0.046532-0
RNA Biology
巻: 10 ページ: 1-7
10.4161/rna.24908