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2014 年度 実績報告書

オルガネラの人工修飾と創成の技術基盤

計画研究

研究領域マトリョーシカ型進化原理
研究課題/領域番号 23117009
研究機関神戸大学

研究代表者

洲崎 敏伸  神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00187692)

研究分担者 橘 裕司  東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2016-03-31
キーワード細胞内共生 / 原生生物 / マイクロインジェクション / オルガネラ / ミドリゾウリムシ / マイトソーム
研究実績の概要

本研究では、共生体によって駆動される真核生物の進化の基本原理を解明するという本研究領域の全体構想の中で、オルガネラの創成と進化の理解に根ざしたオルガネラの人為的操作を通して有用生物を創出すること、すなわち人工マトリョーシカ創成への試みを実
施している。
平成26年度においては、洲崎は細胞内共生中のクロレラからPV膜を単離し、含まれるタンパク質を解析した。具体的には、RNA-Seq法により得られたmRNAの推定配列データベースを用いて、PV膜に存在するタンパク質を質量分析法により同定し、その特徴を解析した。その結果、クロレラが産生したマルトースをホストの細胞内へと輸送するための輸送体、ホストからクロレラへのアミノ酸の輸送体、PV膜内部を低pHに維持するためのV-type ATPaseを含む、多くのタンパク質が同定された。
一方、分担研究者の橘は、赤痢アメーバのミトコンドリア関連オルガネラであるマイトソームの移植に関する研究を実施した。(1)レシピエントとドナーのマイトソームを識別するため、新たにmycタグを付加したマイトソーム蛋白質を発現する株を樹立した。(2)同種間移植において、レシピエントのマイトソーム蛋白質とドナー由来マイトソーム蛋白質が共局在する像が観察され、マイトソームの融合、あるいはドナー由来マイトソームへの蛋白質輸送が起きている可能性が示された。(3)赤痢アメーバの近縁種Entamoeba nuttalliにおいて、細胞増殖速度の速い株ではマイトソームの密度が有意に高いことが確認された。また、移植のレシピエントに利用できるようなサイズの大きなE. nuttalli株を分離できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

洲崎は、これまでの研究内容を引き続き継続するとともに、細胞内共生中のクロレラのPV膜に含まれるタンパク質を解析した。橘は、マイクロインジェクションによるオルガネラ移植系の確立をめざした。免疫染色において、レシピエントとドナー由来のマイトソームを識別し、更に両者の蛋白質が共局在した場合に識別できる系を確立できた。

今後の研究の推進方策

洲崎は、26年度の研究内容を継続する。すなわち、細胞内共生中のクロレラからPV膜を単離し、含まれるタンパク質を解析する。RNA-Seq法により得られたmRNAデータを基にPV膜に存在するタンパク質を網羅的に同定し、その特徴を解析する。さらに、PV膜の起源である食胞膜についても同様に網羅的プロテオーム解析を行い、PV膜を特徴付けるタンパク質成分の同定とその機能解析を実施する。
橘は、オルガネラ移植の成功率と移植後のレシピエント細胞の生存率の向上をめざした条件検討を行う。継時的に移植オルガネラの動態を解析し、2種類のタグを有するマイトソームが、オルガネラ融合したものなのか、レシピエントの蛋白質が輸送されたものなのかを明らかにする。また、移植オルガネラに対するレシピエント細胞の許容度を評価するために、E. nuttalliへの移植も実施する。

  • 研究成果

    (28件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (26件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular cloning and expression of phosphoglycerate dehydrogenase and phosphoserine aminotransferase in the serine biosynthetic pathway from Acanthamoeba castellanii.2015

    • 著者名/発表者名
      Yihong Deng, Duo Wu, Hiroshi Tachibana, Xunjia Cheng
    • 雑誌名

      Parasitol. Res.

      巻: Epub 2015 Jan 28 ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00436-015-4317-2

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 嫌気性原虫におけるオルガネラ移植法確立を目指したマイクロインジェクション法の検討2015

    • 著者名/発表者名
      風間 真、荻原早苗、吉田和弘、牧内貴志、野崎智義、橘 裕司
    • 学会等名
      第84回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      杏林大学三鷹キャンパス
    • 年月日
      2015-03-22
  • [学会発表] 赤痢アメーバにおけるペルオキシレドキシンの高発現株作出による局在解析2015

    • 著者名/発表者名
      吉田和弘、牧内貴志、風間 真、橘 裕司
    • 学会等名
      第84回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      杏林大学三鷹キャンパス
    • 年月日
      2015-03-22
  • [学会発表] 赤痢アメーバの特殊化ミトコンドリアにおける分裂機構の解析2015

    • 著者名/発表者名
      牧内貴志、吉田和弘、野崎智義、橘 裕司
    • 学会等名
      第84回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      杏林大学三鷹キャンパス
    • 年月日
      2015-03-22
  • [学会発表] 赤痢アメーバIglレクチンの有する新規活性について2015

    • 著者名/発表者名
      加藤健太郎、矢幡一英、Bhim G. Dhoubhadel、藤井仁人、橘 裕司
    • 学会等名
      第84回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      杏林大学三鷹キャンパス
    • 年月日
      2015-03-22
  • [学会発表] ミドリゾウリムシに共生するクロレラの細胞壁の解析2015

    • 著者名/発表者名
      松元里樹、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第39回日本藻類学会大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-22
  • [学会発表] 有中心粒目太陽虫の細胞表面に存在する珪酸質被殻の構造と形成機構2015

    • 著者名/発表者名
      千原あかね、ソンチホン、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第39回日本藻類学会大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-22
  • [学会発表] ミドリゾウリムシを用いた従属栄養態と混合栄養状態の比較研究2015

    • 著者名/発表者名
      早川昌志、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第39回日本藻類学会大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-22
  • [学会発表] ミドリゾウリムシによる汚染土壌からのセシウム除去2015

    • 著者名/発表者名
      中田杏子、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第39回日本藻類学会大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-22
  • [学会発表] 化学物質によるユーグレナ細胞膜の変化と誘電性質との関係2015

    • 著者名/発表者名
      陳 林、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第39回日本藻類学会大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-22
  • [学会発表] Euglenozoaにおけるクロロフィルの無毒化代謝の進化2015

    • 著者名/発表者名
      柏山祐一郎、川原純、洲崎敏伸、中澤昌美、石川孝博、丸山萌、山口愛果、矢吹彬憲、宇塚明洋、宮城島進也、丸山柾伸、白鳥峻志、横山亜紀子、木下雄介、民秋均
    • 学会等名
      第39回日本藻類学会大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-22
  • [学会発表] ミドリゾウリムシ細胞内共生藻胞膜(PV膜)のタンパク質解析2015

    • 著者名/発表者名
      槇本純、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第39回日本藻類学会大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-22
  • [学会発表] ミャンマーに生息するアカゲザルからのEntamoeba nuttalliの分離とその遺伝子多型解析2015

    • 著者名/発表者名
      橘 裕司、馮 萌、Rattiporn Kosuwin、小林正規、柳 哲雄、Mon Hla Myat、Chaturong Putaporntip、Somchai Jongwutiwes
    • 学会等名
      第84回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      杏林大学三鷹キャンパス
    • 年月日
      2015-03-21
  • [学会発表] 原生動物ハリタイヨウチュを用いた水質モニング法の開発2015

    • 著者名/発表者名
      吉村知里、松原さやか、洲崎 敏伸
    • 学会等名
      第49回日本水環境学会年会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2015-03-16 – 2015-03-18
  • [学会発表] トランスクリプトーム解析とプロテオーム解析によるミドリゾウリムシの単離共生藻胞膜に存在するタンパク質の同定2014

    • 著者名/発表者名
      洲崎敏伸、早川昌志、槇本 純
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
    • 招待講演
  • [学会発表] 赤痢アメーバレクチン (Igl) のレクチン領域解析2014

    • 著者名/発表者名
      加藤健太郎、Bhim G. Dhoubhadel、藤井仁人、橘 裕司
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-11-25
  • [学会発表] 化学物質に対するユーグレナの誘電特性の解析2014

    • 著者名/発表者名
      陳林、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第85回日本動物学会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-13
  • [学会発表] ミドリゾウリムシの共生藻Chlorella variabilisの細胞壁の解析2014

    • 著者名/発表者名
      松元里樹、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第85回日本動物学会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-13
  • [学会発表] ミドリゾウリムシの網羅解析が明らかにする捕食性原生動物からマトリョーシカ生物への進化2014

    • 著者名/発表者名
      早川昌志、竹内史比古、槇本純、関塚剛史、黒田誠、早川卓志、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第3回マトリョーシカ型生物学研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2014-07-11 – 2014-07-13
  • [学会発表] 原生動物ミドリゾウリムシの共生クロレラの細胞壁の変化2014

    • 著者名/発表者名
      松元里樹、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第3回マトリョーシカ型生物学研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2014-07-11 – 2014-07-13
  • [学会発表] Bio-remediation of cesium-contaminated soil using Paramecium bursaria.2014

    • 著者名/発表者名
      MD Shafiqul Islam, Chisato Yoshimura and Toshinobu Suzaki
    • 学会等名
      第3回マトリョーシカ型生物学研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2014-07-11 – 2014-07-13
  • [学会発表] 光栄養性ユーグレノイドの色素体の崩壊に伴う褐色顆粒状構造の形成:誘導実験からの知見2014

    • 著者名/発表者名
      川原純、中澤昌美、洲崎敏伸、柏山祐一
    • 学会等名
      第3回マトリョーシカ型生物学研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2014-07-11 – 2014-07-13
  • [学会発表] 原生動物ミドリゾウリムシ由来PV膜と食胞膜タンパク質との比較解析2014

    • 著者名/発表者名
      槇本 純、早川昌志、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第3回マトリョーシカ型生物学研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2014-07-11 – 2014-07-13
  • [学会発表] 細胞内共生クロレラを持つ原生動物の細胞構造、生態、そして進化2014

    • 著者名/発表者名
      早川昌志、洲崎敏伸
    • 学会等名
      第3回マトリョーシカ型生物学研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2014-07-11 – 2014-07-13
  • [学会発表] オルガネラ移植による腸管寄生アメーバの改変2014

    • 著者名/発表者名
      橘 裕司、風間 真、牧内貴志、吉田和弘、荻原早苗、田中政之
    • 学会等名
      第3回マトリョーシカ型生物学研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2014-07-11 – 2014-07-13
  • [学会発表] ネパールのアカゲザルから分離した腸管寄生アメーバEntamoeba nuttalliにおける遺伝子多型の解析2014

    • 著者名/発表者名
      橘 裕司、馮 萌、小見山智義、柳 哲雄、Jeevan B. Sherchand
    • 学会等名
      第30回日本霊長類学会
    • 発表場所
      大阪科学技術センタービル
    • 年月日
      2014-07-05 – 2014-07-06
  • [学会発表] 嫌気性寄生原虫に存在するミトコンドリア関連オルガネラ2014

    • 著者名/発表者名
      牧内貴志、橘 裕司、野崎智義
    • 学会等名
      第2回 YoungMito 2014
    • 発表場所
      みのお山荘「風の杜」
    • 年月日
      2014-05-22 – 2014-05-23
  • [図書] 原生生物フロンティア その生物学と工学2014

    • 著者名/発表者名
      洲崎敏伸
    • 総ページ数
      165頁(1-16)
    • 出版者
      化学同人

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公開日: 2016-06-01  

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