研究領域 | 精神機能の自己制御理解にもとづく思春期の人間形成支援学 |
研究課題/領域番号 |
23118002
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
長谷川 眞理子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (00164830)
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研究分担者 |
高橋 泰城 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60374170)
西田 淳志 公益財団法人東京都医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (20510598)
佐々木 司 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50235256)
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キーワード | 進化 / 思春期 / 自己制御 / 発達 |
研究概要 |
長谷川は、少年犯罪と児童虐待のデータ分析を進めた。また、西田と共同で、以下の作業を進めた。都内3つの自治体と研究協定を締結。10歳児童とその主たる養育者約3,000組からなる思春期コホートの立ち上げを目指し、各自治体住民基本台帳からの標本抽出作業を完了した。フォーカスグループインタビューや海外における発達コホート研究プロジェクトの専門家との度重なる協議等を経ながら、コホートのマネジメント体制の確立、仮説設計と評価指標の決定作業を進めるとともに、調査員トレーニングを完了し、プレ調査に着手した。 平成24年度に入ってからは、プレ調査の解析結果を元に、本調査に向けたさらなる仮説設定、評価指標の練り直しを行った。また、増員した調査員に対するトレーニングを完了し、本調査に着手した。 佐々木は、双生児データを含む、東京大学教育学部附属中等学校生徒の行動と精神保健(自己評価)ならびに生活習慣に関する3年分の縦断データの解析を進めている。平成23年度は、保護者による子供の行動特徴評価、子供と家族の睡眠習慣評価(幼児期から現在まで)に関する後ろ向き調査を実施した。また、卒業生への広報、意思確認など卒後縦断調査に向けた基盤固めを進めている。なお縦断データの解析は、latent curve model(潜在曲線モデル)、ないしはmultilevel modeling(マルチレベルモデリング)での解析を開始している(東大教育心理、宇佐美らと共同)。双生児データについては、双生児統制法を基本とする解析方法を検討中である。 高橋は、思春期の自己制御発達の神経経済学的研究を進めるにあたり必要な、行動課題の作成および、データ解析法の開発を終了した。また、思春期の神経ステロイドホルモンの測定に必要な方法の開発を終了し、思春期における神経ステロイド濃度の変化を測定するためのサンプルの調整を終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
思春期コホートの設立に要する努力量が当初考えていたよりもずっと大きいことに尽きる。しかし、コホート研究は今後も数十年にわたって続けていくべき性質のものであり、最初の設立時にさまざまな問題を克服しておかねば禍根を残すことになる。このため、長谷川研究班も全力をあげて思春期コホートの立ち上げを支えることになった。そのため、長谷川自身の研究は遅れているが、少年犯罪と児童虐待のデータ分析は、並行して進められている。アイ・トラッカーを用いた実験研究は、来年度以降に開始する予定である。 また、コホートの設立、運営にかんしては、協力自治体との連携が不可欠であるが、平成23年度に協力自治体の自治体長選挙・議会委員選挙が重なったため、この時期に新しい活動を開始することができず、本調査の開始がずれ込んだ。しかしながら、選挙後にも自治体とは良好な連携が実現できており、今後の研究推進に滞りはないものと考えられる。 佐々木、高橋の研究は、おおむね順調に進展している。また、東京大学教育学部附属中等学校生徒の行動と精神保健(自己評価)ならびに生活習慣に関する3年分の縦断データを元にした、A01班全員での共同解析・論文化が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
長谷川、西田は、共同して、コホート調査を進めていく。コホート調査は、継続的なデータ収集により、因果関係を含めた発達・健康関連因子の分析が可能となるため、初回調査における高い調査協力率を今後の追跡調査においても維持していく必要がある。質の高いコホートを維持するためには協力者の継続的貢献を引き出す様々な取り組みが必要であり、ニュースレター、誕生日カードなどによるエンゲイジメント(関係づくり)の努力を強化する。 長谷川は、これと並行して少年犯罪と児童虐待のデータ分析を進めていく。アイ・トラッカーを用いた実験研究は、来年度以降に開始する予定であり、とくに計画の変更の必要はない。 佐々木、高橋は、引き続きそれぞれの課題を進めていく。佐々木、高橋の研究はおおむね順調に進められており、変更の必要はない。
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