計画研究
藤井: 23年度に準備を行った個体間社会的認知機能の解明のための脳活動神経活動記録を開始した。社会文脈理解メカニズム解明に関する課題デザインをA03と始めた。萩原:ヒトが「自分の顔」及び「自分の声」を処理している際の神経基盤を多電極脳波計測し、皮質電流密度推定を開始した。その結果、「声」の認識がメタ認知・自己像の形成に少なからず影響を及ぼす可能性を示唆していた。酒井:言語的コンテクストの影響を探る実験を発展させる課題をデザインし、コミュニケーション相手との親疎に応じて行為を記憶する際の視点が異なること,課題遂行中の注意配分と視点の取り方に相関が見られることなどを明らかにした。岡ノ谷: 1)ジュウシマツの遅延・変換聴覚フィードバックかさえずりにおよぼす効果を、個体発達過程において検討し、この可塑性は大脳-基底核連関に依る可能性が高いことが分かった。2) 齧歯類のメタ認知能力を検出するため、レバー押し課題を行わせ自己の行動履歴に関する行動バイアスを見つけた。福田: 会話を行っている最中の脳機能をNIRSを用いて統合失調症について行ったところ、陰性症状が右前頭部や左側頭部の脳賦活と関連していた。これらのことから、NIRSを用いて会話における脳機能を検討することで対人場面における自己制御を検討することができ、その脳賦活が性格傾向や陰性症状と関連することが明らかにできた。橋本:他者の視点からみた、自己・他者のイメージを想像する能力は、通常の対人コミュニケーションを円滑におこなう上で重要と考えられるが、今回開発した自己・他者参照課題により、発達障害のひとつであるASDにおいて、この機能をつかさどる脳システムの異常がみられることを示唆している。
2: おおむね順調に進展している
藤井、萩原、酒井、岡ノ谷、福田、橋本の全ての課題に関して、計画通りに進展しており、特に問題は見受けられない。
藤井:大規模データ解析について、手法が固まっていなかったため、果たしてデータマイニング手法で対処出来るかが不明であったが、様々な試行錯誤を行った結果、十分にリーズナブルな計算時間で解析が出来ることが分かった。今後は、様々な補足データを組み合わせて、主観性を排した解析結果を明らかにしたい。萩原:今年度実施した行動研究の結果にもとづいて、脳機能計測を行う他に、遅延聴覚フィードバック法と脳構造画像分析などを組み合わせた脳機能計測実験を行う。さらに、A02班内での連携として、ヒトとトリの比較研究を行い、両者に共通した実験パラダイムの開発、脳計測実験を実施する。酒井:研究計画はおおむね順調に進展しているので,大きな変更の必要はない.平成25年度は,下記の研究に重点的にエフォートを配分して取り組みたい.岡ノ谷:ジュウシマツの歌研究では、現在確認されている可塑性の神経メカニズムを、薬理学的操作によって確かめる。その後、幼年期・成年期・壮年期の比較および性ホルモンの操作によって、自己制御能力の発達的変化を明らかにする。また、自己制御の可塑性を作り出す神経信号の実体を電気生理学的手法により解明する。福田:自己制御についての脳機能の検討を、さらに広げていくことを予定している。具体的には、①会話という対人関係における自己制御の脳機能の検討対象をうつ病や双極性障害へと広げること、②会話における脳機能を2人同時に検討してその関連を検討すること、③対人関係の困難が中心的な病態である広汎性発達障害の脳機能を自己制御と関連づけて検討すること、などである。橋本:今後は、自己の声認識に関する論文をまとめるとともに、自己の声認識を踏まえた自己の発声制御についての実験準備を進めていく。発声制御の研究については、A02岡ノ谷との共同研究により、比較認知脳科学的研究を目指したアプローチを模索していく。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (20件) (うち招待講演 6件) 図書 (2件)
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