研究領域 | 動的・多要素な生体分子ネットワークを理解するための合成生物学の基盤構築 |
研究課題/領域番号 |
23119003
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田川 陽一 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (70262079)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肝組織 / ES細胞 / 肝細胞 / 内皮細胞 / マイクロ流体デバイス |
研究実績の概要 |
本研究は、分化する側のES/iPS細胞ではなくて、その分化を補助・教育する側の支持細胞(内皮細胞)に遺伝子回路を導入して、ES/iPS細胞の分化を制御し、肝組織の構築をすることを目的としている。①未分化を維持する役割を有する白血病抑制因子(LIF)をテトラサイクリン応答プロモーターで発現制御するシステムを構築し、ヒト臍帯静脈内皮細胞HUVECと肺癌上皮細胞株A549を細胞融合したEhy926細胞株に導入し、Dox【テトラサイクリンの代替化合物)を添加し、その遺伝子発現を確認した。②①を調べるために、未分化のレベルの維持の指標を検定する系を検討したが、マウスES細胞培養のためのマウス胚初代培養線維芽細胞に比べると効果的ではなかった。高発現クローンを選別する必要性がわかったので、現在、選別中である。③しかし、Ehy926細胞株ではなく、本研究で樹立したマウス肝内皮細胞株を用いたいと考え、増殖を試みたが、増殖速度が大変に遅いことから、増殖速度を速める工夫を検討中である。④また、ヒトiPS細胞由来肝細胞と血管内皮細胞による肝組織において、ヒトiPS細胞由来肝細胞単独に比べて尿素合成能の向上に成功した。さらに、このin vitro 肝組織を長期間培養できるために改良した流体デバイスによる肝機能のさらなる向上を示すことができた。⑤4のヒトiPS細胞由来in vitro肝組織にB型肝炎ウイルスを感染させ、感染・増殖を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトiPS細胞由来肝細胞系譜細胞と血管内皮細胞による構築した肝組織はB型肝炎感染が成立するほどの有用性があることが立証でき、社会的貢献を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
未分化維持、肝細胞と胆管上皮細胞への選択的分化を決める遺伝子回路を完成させ、血管内皮細胞株に導入し、最終目的である支持細胞を作製する。
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