一連の遺伝子群を連結した人工オペロンをどのようにデザインすればよいかを、大腸菌が本来生産しないカロテノイド・アントシアニンといった色素性物質の代謝経路を具体例に取り上げて、検証した。 (1)カロテノイド グルコースからカロテノイドまでの一連の代謝経路を連結した人工オペロンプラスミドを、対応する遺伝子の欠損した大腸菌に導入すると、選択圧をかけることなく培養しても、高いカロテノイド生産性を示すが、増殖速度が遅いという問題があった。そこで、オペロン内の問題があると考えられる遺伝子について、発現量の最適化を目標に、遺伝子の連結順序の再配置を行った。その結果、生産性を落とすことなく、増殖速度を1.5倍以上に改善することに成功し、オペロンデザインの有用性を示した。 (1)アントシアニン 平成26年度までに作成した、アントシアニン生合成経路の中間代謝産物であるナリンゲニン以降の反応に必要な4酵素遺伝子を連結した人工アントシアニンオペロンプラスミドと、チロシンもしくはフェニルアラニンからナリンゲニンまでの生合成までに関わる2つのナリンゲニンプラスミドの計3プラスミドの遺伝子を一つにまとめた、計9遺伝子を連結したプラスミドを構築した。これを大腸菌株に導入し培養したが、ほとんどアントシアニン生産量を示さなかった。デザインが不完全であったことが考えられた。
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