研究領域 | 動的・多要素な生体分子ネットワークを理解するための合成生物学の基盤構築 |
研究課題/領域番号 |
23119006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
ロンドレーズ ヤニック 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (10548770)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / 遺伝子 / マイクロ流体デバイス / 合成生物学 |
研究概要 |
2012年度は,研究代表者が開発したDNA-tool boxを用いて,双安定性を持つin vtro反応ネットワークのモジュールを実現した.本モジュールを用いて,スイッチング可能なメモリと単一入力トグルスイッチを実装した(PNAS 2012).また,in vtro反応ネットワークの振る舞いを観察するために消光剤を用いないDNA塩基配列特異的なハイブリダイゼーションによる蛍光信号変化を用いる手法を開発した(NAR 2012).上記の反応ネットワークをマイクロ液滴内に実装するためのマイクロ流体デバイスデバイス設計について議論を進め,また,マイクロ液滴を安定的に観察するための界面活性剤のセレクションを行なった. 理論側では,ネットワーク内の酵素競合による影響について議論し(PRL 2012a),その影響をコンパクトかつ高効率な反応ネットワークを構築するために利用することについても議論を行なった(PRL 2012b).加えて,in vitro反応ネットワークについての総論をまとめた(Curr. Op. Biotech 2012). 伊庭班とは反応ネットワークのin silico進化に関する共同研究を開始した.花井班との連携では,人工遺伝子回路を組み込んだ大腸菌に対して,異なる試薬濃度の入力を与えた場合にその振る舞いを網羅的に観察するための,2入力濃度勾配形成マイクロ流体デバイスを開発した.柘植班との連携では,柘植班が開発するアントシアニンを出力する人工代謝経路にて用いられる酵素の活性評価を行なうためのNADPH濃度定量デバイスの開発に取り組んだ.田川班とは肝前駆細胞を部位特異的に分化誘導培養するデバイスの開発を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画研究調書に沿った形で進捗している。 各班との連携についても共同開発したデバイスが試作されており順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は,筆者らが開発するin vitro反応ネットワークをマイクロ流体デバイスで形成したマイクロ液滴内で実装することに取り組む.in vitro反応ネットワークについては,捕食-被捕食者関係を模した新たな振動子ネットワークを構築を目指す.また,反応ネットワークの時空間的な伝搬をconfinedなマイクロ領域内で観察する事についても議論を進める.理論側の研究では,計算機支援設計(CAD)による反応ネットワーク設計について検討を行う.反応ネットワーク設計の効率的なアーキテクチャについて議論を行なう.また,木賀班との連携では,目的たんぱく質を,研究代表者が開発したDNA-toolboxとPCR法を組み合わせる事で,進化工学的なアプローチによりクローニングで得る手法についての検討を開始する.花井班,柘植班,田川班とは,それぞれの共同研究で用いるデバイスの改良を行なう.
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