計画研究
およそモノづくりは、概念設計から実現に至るまで系統的なアプローチをとるべきである。分子や細胞のように手に取って調べられない対象に対しては、各段階での分析・設計、試行からのフィードバックに、適切な数理モデリングと、パラメータ最適化、シミュレーション、システム構造解析等の計算機の利用が欠かせない。本研究の目的は、これら合成生物学を支える情報科学的基盤技術の開発にある。合成生物学の先駆的研究では、非線形システム解析の常套手段が援用されてきた。そこでは十分多くの分子が関与し、均一系の試験管内のような単純化された状況が想定されている。細胞内では、組換えられたネットワーク自体の複雑さに加えて、生体分子の局在化、少数分子のゆらぎの影響や、増殖のような想定外の事象をも取り扱う必要がある。合成生物学の対象は理想化・単純化された状況から大規模・複雑・不均一なものにシフトしつつあり、それらを考慮した新たな数理モデルの構築が必要である。計画研究A01, B01 各班の対象をテストベッドとして、微分方程式に確率過程論や統計物理といった異質の解析手法を組み合わせ、マルチフィジックス・マルチレイヤーモデルによる機能解析に取り組む。最終的にC01 班の成果と合わせ、合成生物学研究の総合支援ネットワークを提案する。本年度は前年度に引き続き、トグルスイッチ回路を細胞腫の分化比コントロールに用いたモデル系を対象として、数理モデルの構築とシミュレーションを行った。また、周波数特性に注目した発振する遺伝子回路の最適設計の研究結果をまとめた。さらに新たに、複数種の細胞集団からなる微生物マットの構築モデルを提案し、シミュレーションを行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemical Communications
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