研究領域 | 動的・多要素な生体分子ネットワークを理解するための合成生物学の基盤構築 |
研究課題/領域番号 |
23119009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊庭 斉志 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (40302773)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遺伝子ネットワーク / 進化計算 / 遺伝的アルゴリズム / 遺伝的プログラミング / DNAツールボックス / 合成生物学 / ラボラトリオートメーション |
研究実績の概要 |
今年度は,前年度で構築したシステムのβバージョンの改善を行うと同時に,「人工遺伝子回路の自動設計」,および,「設計した人工遺伝子回路を構築するための実験計画を立案する技術の開発」に取り組んだ.そして,進化計算を活用して人工遺伝子回路の自動設計と各種パラメータの最適化を行うツールを花井班およびLondelez班とともに開発し,自動設計によって得られた遺伝子回路の動作検証を行った. 具体的には,進化計算に基づいて生化学的システム(分子ネットワーク)を設計する手法ERNe(a framework for Evolving Reaction Networks)を構築した.ERNeは試験管内(in vitro)での遺伝子ネットワークを設計し特定の振動形や機能を実現し,これにより難解な分子生物学の問題に信頼性の高い生化学的な解答を見出すことを試みるものである.ERNeではDNAツールボックスを基にして遺伝子ネットワークを合成した.DNAツールボックスは,任意の遺伝子ネットワークをつないで構成できるDNAベースの触媒活性化,または抑制化反応の遺伝子セットである.ERNeでは,種分化などの新奇な方法も導入されており従来の進化計算の枠組みを拡張している.ERNeをもちいて,振動系などのいくつかの実際的な生化学システムの探索に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成生物学における遺伝子ネットワークのデザインを目的とした進化計算手法ERNeの開発に成功した.いくつかの実際的な遺伝子回路のデザインに成功している.
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今後の研究の推進方策 |
今年度はより実際的な回路の合成を試みる.具体的には数学的な関数やカオティック振動子などを想定している.さらに,ErNeなど進化計算に基づいて自動合成された遺伝子回路をin vitroで実際に合成してその有効性を確認する.この実験については,花井班やLondelez班とこれまですすめてきた共同研究をさらに進めていく.さらに,柘植班や陶山班との共同研究においては,人工解凍系オペロンの構築のための最適化を試みる. 以上に加えて,既存のリソースを用いて目標の人工遺伝子回路を構築するための実験計画を自動的に立案するツールの開発を行う.このためにも進化計算を活用した最適化を行う.
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