研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
23120007
|
研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
銅谷 賢治 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 教授 (80188846)
|
研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
|
キーワード | 意思決定 / モデルフリー / モデルベース / 強化学習 / ベイズ推定 / 二光子顕微鏡 / 大脳基底核 / 大脳皮質 |
研究概要 |
1)脳内シミュレーション過程の可視化 二光子顕微鏡によるマウスの頭頂連合野および運動前野のニューロン活動の光学記録実験を引き続き行った。特に、マウスが前進すると音源位置が接近し、音源に最接近した時点でリッキングを行うと水報酬が得られるという行動課題に注力した。音を間欠的に与えた場合でも、報酬地点への接近に応じたリッキングの増加が見られることから、マウスは自らの運動と内部モデルにより報酬位置の予測を行っていることが明らかになった。またニューロン活動の解析により、報酬位置に応じて発火するニューロンの一部は、音が与えられない期間にも活動を上昇させることから、これが内部モデルによる状態推定に関連する活動であることが示唆された。 2)モデルべースとモデルフリーの意思決定の神経回路 意思決定における状態と行動の表現空間を明らかにするため、3次元モーショントラッキング装置によりラットの運動を記録しなが ら、確率報酬による意思決定課題実験を行った。線条体、運動野、前頭前野の神経活動を多電極記録し解析した結果、それぞれの領野で「右の穴を選ぶ」といったタスクレベルの表現と、「右に旋回する」といった運動レベルの表現が混在していることが明らかになった。今後さらに記録と解析を行い、それぞれの領野における状態と行動の表現の違いを明らかにする予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)脳内シミュレーション過程の可視化 「行動に応じた状態変化の予測」という脳内シミュレーションの基礎過程を捉えるための行動課題とイメージング系を確立することができた。 2)モデルべースとモデルフリーの意思決定の神経回路 モーショントラッキンングを活用し、意思決定の単位となる状態と行動の表現を明らかにする準備ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
H25年度に導入した超小型顕微鏡も活用し、脳内シミュレーションと内部モデルの実体をさらに明らかにすることをめざす。
|