研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
23120007
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
銅谷 賢治 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, 教授 (80188846)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 意思決定 / モデルフリー / モデルベース / 強化学習 / ベイズ推定 / 二光子顕微鏡 / 大脳基底核 / 大脳皮質 |
研究実績の概要 |
1)脳内シミュレーション過程の可視化:前進すると音源位置が接近し、音源に最接近した時点でリッキングを行うと水報酬が得られるという「聴覚仮想ナビゲーション課題」を実行中のマウスの、頭頂連合野および第2次視覚野のニューロン活動の二光子顕微鏡による記録実験を行った。 音信号を連続的に与える条件と間欠的に与える条件を設け、連続音提示条件下での音源位置に応じた各ニューロンの活動特性をまず同定し、ニューロン活動データから音源位置を推定するベイズデコーダーを構成した。その結果、連続音条件だけでなく、間欠音条件においても、頭頂葉のニューロン活動から音源位置のデコーディングが可能なことが明らかになった。このことは、頭頂葉の神経回路で自身の行動をもとに音源位置の変化を予測する内部モデルが動作していることを強く示唆している。 2)モデルベースとモデルフリーの意思決定の神経回路:意思決定における状態と行動の表現空間を明らかにするため、確率報酬による意思決定課題中のラットの運動を3次元モーショントラッキング 装置により記録しながら、線条体、運動野、前頭前野の神経活動を多電極記録した。その解析の結果、特に選択行動開始時と完了時の加速度は報酬期待値と相関し、背外側線条体の神経活動はそのタイミングでの加速度と強く相関することが明らかになった。この新たな知見とこれまでの結果は、報酬予測をもとにした行動選択には背内側線条体が、運動パラメタの制御には背外側線条体が関わることを示している。 さらに、モデルベースとモデルフリーの意思決定を区別する実験課題のラットでのトレーニングを進め、海馬および線条体での神経活動を記録するための内視鏡型超小型顕微鏡での光学神経活動記録の予備的な実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)脳内シミュレーション過程の可視化 二光子顕微鏡による神経活動記録とベイズデコーディングにより、「行動に応じた状態変化の予測」という脳内シミュレーションがマウスの頭頂葉で行われているという確証を得た。 2)モデルベースとモデルフリーの意思決定の神経回路 背内側線条体と背外側線条体が異なる行動表現により階層的な強化学習を実現することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
「行動に応じた状態変化の予測」を行う神経回路のダイナミクスを、さらなる神経活動記録と解析により明らかにすることをめざす。
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