研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
23120008
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岡本 仁 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, シニアチームリーダー (40183769)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | ゼブラフィッシュ / 意思決定 / 終脳 / レーザー顕微鏡 / トランスジェニック |
研究概要 |
本計画は、脊椎動物で、最も単純な構造の脳を持つゼブラフィッシュ成魚の終脳を使って、意思決定時の神経細胞の活動を可視化し、意思決定の神経メカニズムを究明することが目的である。平成24年度までの研究で、研究に必要なトランスジェニック系統を作製し、これらの系統の脳の神経活動を、2光子レーザー顕微鏡を使って観察出来るシステムを構築した。更に、世界で初めて、自由遊泳中のゼブラフィッシュの成魚の脳の神経活動を、オプトジェネティックスを用いて制御できる実験法を確立した。平成25年度は、腹側手綱核の神経細胞を、任意の条件の時のみにオプトジェネティックスを用いて興奮させることによって、その条件に対する忌避行動が誘起されることを示した。これ以前に得られた、腹側手綱核のみで特異的に破傷風毒素を発現するトランスジェニック系統では、古典的恐怖学習はできるが、能動的回避学習ができなくなるという結果と合わせて、腹側手綱核と、それに繋がる正中縫線核のセロトニン神経細胞は、条件刺激の提示に対して負の価値予測を反映して興奮し、能動的回避学習を可能とすることを明らかにした。また、作成されたトランスジェニックフィッシュを用いて、能動的回避学習の成立後に、条件刺激の提示に対して終脳のどの部分が興奮するかを、高感度高速撮影カメラを用いて観察することに成功し、複数の領域が順番に興奮することを発見した。更に、ゼブラフィッシュ終脳の神経活動を2光子型レーザー顕微鏡で観察するための改良を推し進め、計測中のゼブラフィッシュ成魚に仮想現実空間のイメージを提示するための装置を完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本計画は、脊椎動物で、最も単純な構造の脳を持つゼブラフィッシュ成魚の終脳を使って、意思決定時の神経細胞の活動を可視化し、意思決定の神経メカニズムを究明することが目的である。これまでの研究で、実空間と仮想現実空間で、能動的回避学習に関わるゼブラフィッシュの終脳の神経活動を、観察し操作するための技術を開発し、完成する見通しが出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発してきた技術に更に改良を加えて仮想現実空間を使った神経活動の観測システムを利用できる様にする。
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