計画研究
本計画は、脊椎動物で最も簡単な構造の脳を持つゼブラフィッシュの成魚の終脳を使って、意思決定の神経細胞の活動を可視化し、意思決定の神経メカニズムを究明することが目的である。平成25年度までの研究で、研究に必要なトランスジェニック系統を作成し、これらの系統の脳の神経活動を,2光子レーザー顕微鏡を使って観察できるシステムを構築した。更に、世界で始めて、自由遊泳のゼブラフィッシュの成魚の脳の神経活動を、オプトジェネティックスを用いて制御できる実験法を確立した。これを使って、腹側の手綱核の神経細胞を,任意の条件の時のみにオプトジェネティックスを用いて興奮させることによって、その条件に対する忌避行動が誘起されることを示した。これ以前に得られた、腹側手綱核のみで特異的に破傷風毒素を発現するトランスジェニック系統では、古典的恐怖学習は出来るが、能動的回避学習が出来なくなるという結果と合わせて、腹側手綱核と,それに繋がる正中縫線核のセロトニン神経細胞は、条件刺激の提示に対して負の価値予測を反映して興奮し、能動的回避学習を可能とするという仮説を立てた。この仮説を更に検証するために、能動的回避学習の途中と成立後のゼブラフィッシュで、腹側手綱核神経細胞が、条件刺激の提示に対してどの様に反応するのかを調べた。これらの神経細胞が、負の価値予測をコードする場合に理論的に予測されるように、学習の途中では興奮頻度の上昇が見られ、学習成立後には、通常レベルに回帰するという振る舞いが見られた。以上全ての結果をまとめて、Neuron誌に発表した。さらに、ゼブラフィッシュ成魚で仮想現実空間システムを完成させて、視覚イメージの提示中に、成魚の全脳の神経活動を観察できるシステムの構築を進めた。
2: おおむね順調に進展している
本計画は、脊椎動物で最も簡単な構造の脳を持つゼブラフィッシュの成魚の終脳を使って、意思決定の神経細胞の活動を可視化し、意思決定の神経メカニズムを究明することが目的である。これまでの研究で、この目的達成のために最も重要な仮想現実空間でのゼブラフィッシュ成魚脳の神経細胞の活動の可視化出来るシステムをほぼ完成させた。
仮想現実空間でのゼブラフィッシュ成魚脳の神経細胞の活動の可視化出来るシステムを用いて、意思決定の神経メカニズムの解明を行う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 11件)
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