研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
23120010
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
木村 實 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (40118451)
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研究分担者 |
春野 雅彦 (独)情報通信研究機構, 未来ICT研究所・脳情報通信研究室, 専攻研究員 (40395124)
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キーワード | 神経科学 / 生理学 / 意思決定 / 大脳基底核 / 扁桃体 |
研究概要 |
以下の3つの項目について研究を推進し、成果を得た。 1.複数のニホンザルが同時に参加する状況での意思決定と行動選択:2頭のニホンザルが対面状態で、報酬に基づく意思決定課題をおこなうための特別な実験ブース、セットアップを完成させた。自分の意思決定・行動選択の結果自分が得た報酬(水)が他者にも与えられる場合、他者の得た報酬・懲罰が自分に及ぶ場合を設定した。その際、自分と他者への報酬・懲罰を定量的に制御し、報酬・懲罰がどの他者に及ぶか確実な状況と不確実な状況を設定した。この行動課題に参加する実施者(actor)と観察者(observer)の行動反応時間、眼球運動、予期的な報酬探索(anticipatory licking)を指標に、動物の動機づけ、喜怒哀楽反応を定量的に測定できるシステムを整えた。 2.ドーパミン細胞による長期的報酬予測の表現:ニホンザルに試行錯誤と繰り返しによって合計3回の報酬を得る課題をおこなわせ、中脳ドーパミン細胞の放電を記録した。ドーパミン細胞は、全部で3回の報酬を得るという課題の構造を学習する過程で、長期的な報酬予測とその誤差表現を獲得することを明らかにした(Enomoto et al.,雑誌論文欄1)。 3.線条体細胞による行動選択評価のはたらき:2と同じ行動課題をニホンザルにおこなわせ、線条体細胞の放電を記録した。線条体の細胞は、選んだ選択肢、その報酬確率(価値)、無報酬であれば別の選択・報酬であれば同じ選択という戦略、選択結果(報酬の有無)等の情報を表現し、行動選択を評価するはたらきをもつことを明らかにした(Yamada et al.,雑誌論文欄2)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で1に記した計画は全く新しい研究計画であり、サルの飼育ケージ、実験ブースから整えて、研究体制を整えており、24年度の具体的な進捗に繋ぐ基礎固めができた。本研究課題に密接に関係して継続的に推進している研究の成果を取りまとめて論文発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
23年度の実績に基づいて、計画通り研究を推進していく。
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