計画研究
本研究課題の目的は、以下の作業仮説を検証することであった。『報酬・懲罰による意思決定の評価と情動は、1.自身で得た場合に生じる自己方式、2.他者の報酬・懲罰も自身に反映される自己+他者方式、3.両者を状況に応じて使い分ける方式があり、大脳皮質、ドーパミン系、アセチルコリン系、線条体と扁桃体が特異的な役割を担う』。以下の3項目を研究計画として掲げて研究を推進し、成果を得た。1.日本ザルを対象とする自己の意思決定、他者の存在下での意思決定:いわゆる社会的な環境での意思決定の神経基盤を調べる実験パラダイムを完成させた。行動反応時間、眼球運動、予期的な報酬探索を指標に定量的な検討を行い、サルが他者の存在下で自己の報酬履歴を基に選択肢の価値を推定し、価値の高い選択肢を選択していることを確認した。また、他者の視線と選択行動に注目して自己の意思決定に活かす試みが見られることを確認した。今後実験デザインを工夫して、他者の意図を読み取る仕組みの解明に向けた研究を実施する。2.視床の後部髄版内核のひとつであるサルの正中中心(CM)核の行動、学習における役割:報酬価値の異なる左右のボタン押しを視覚の教示によって行う課題をニホンザルに行わせた。CM核の細胞は、価値の高い選択肢への行動バイアス、バイアスのもとでの行動への動機づけ、想定外の課題の進行の検出などに関連する活動を示すことを明らかにした。更に、想定外の課題の進行の検出を引き金として、CM細胞が新しい行動文脈に適したバイアス、バイアスから行動への動機づけを学習することを明らかにした。3.中脳ドーパミン細胞によるオーバートレーニング時の部位特異的な将来報酬表現:ドーパミン細胞が目前の報酬を獲得するための予測だけでなく、1週間から何カ月先の目標に向けた予測とその誤差を表現しうることを示唆する新しい知見を得た。早急に論文発表する。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Neuroscience research
巻: 105 ページ: 2-18
10.1016/j.neures.2015.10.003